先送り人生とサヨナラしたい! すぐに取りかかるためのマインドのもち方

暮らし

公開日:2016/2/17


『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』(藤由達藏/青春出版社)

 誰もが持っているであろう、やるべきことを締め切りギリギリまで溜め込み、苦しんだ経験。小学校の夏休みの宿題に始まり、一夜漬けでの試験勉強、締め切り直前に提出する課題…私たちは小学生の頃から、「ギリギリ」のリスクを学びながらも、結局いつも先延ばしにし、それでもギリギリになって必死にやれば、なんとか間に合うということを覚える。できるだけ早く取りかかることが良いとは当然知りながら、それなのに動けないのはなぜだろうか。

 その答えと、そんな「先送り人生」から抜け出す方法を教えてくれる著書が、『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる』(藤由達藏/青春出版社)である。

“チャンスや情報が手に入った際、10秒の間に動くことができる人は全てを手に入れ、10秒以上もの時間をかけても動けない人は何も手に入れられなくなる。”

 何かタスクが発生した時、「すぐに取りかかれない人」の頭の中には、「まだ時間があるからいいや」「何から手をつけたらいいかわからない」「難しい課題に取り組む余裕はない」など、やるべきことを棚上げにするための理由ばかりが存在し、これが壁となって行動に移せなくなるのだという。著者は、行動に移すには、「10秒で動けるか」という最初の壁を突破する必要があるといい、そのためのマインドの使い方にはコツがあるのだという。

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 本書では、「気分と視座を変える」という一点で成り立つ、一瞬で行動に移せるようになるためのメソッドが紹介されているのだが、そのメソッドは、単なる「行動の仕方」ではない。「行動できない人」が共通して持っている癖のひとつひとつを洗い出し、それを克服することで「行動する準備」を整えるためのものである。

 例えば、本書で紹介されている「フリーズ状態を解除する方法」もその例の一つである。行動できないケースとしてよくある、「困難なタスク」に立ち向かわなければならないケース。そんな時、人は、「解決に向けて行動しよう」という思いと「行動できない」という思いが葛藤し、フリーズ(思考停止)状態になっている。その状態を解除するためには、自分の中で葛藤している思いを全て付箋に書き出し、頭の中の思いを掻き出す。そこで、フリーズ状態の原因となっている「不安」や「意味をなさない感情」が書かれた付箋を捨てるというのだ。

“残っているのは、やるべきことだけです。何をどうやるか、どういう順番でやるかに整理をつけるのは難しくないでしょう。あとは、それを行動に移すだけ。”

 そうやって、行動を阻止する余計な感情や考えを捨て去ることで、頭の中がゼロベースになり、何を、どういう順番でやるべきかが明確になるというものだ。

 本書の中で著者は、行動力を「慣性の法則」や「雪だるま作り」にたとえている。一番初めに動き出す時は大きなエネルギーがいるが、一旦動き出してしまえばあとは慣性の法則によって楽に進める。大きな雪だるまを作ろうとすると大変そうだと思っても、最初におにぎりサイズの雪玉を作りさえすれば、あとは転がすだけ。つまり、行動力が生まれるかは、行動するまでの10秒のマインドセットができるかどうかと、それにエネルギーをかけられるかが重要なのである。

「行動できない人の10の習慣」や「10秒で行動する人の思考法」、「行動する人になる10秒マインドチェンジ」などのコンテンツの中で伝えられているのは、「行動する人だけが人生を変えられる」というメッセージである。

 ゴールまでに必要なフローを見える化する方法や、感情表現の3要素だという「表情」「動作」「言葉」を変えることで「気分」を選択する方法など、今すぐできる「行動力」の作り方が納得の根拠とともに具体的に紹介されており、先延ばし人生から脱却するきっかけにするのに十分な内容となっている。いつもギリギリ人間で、最後に後悔しなければならない羽目になる人に、ぜひ、オススメしたい一冊だ。

文=松尾果歩