男の罪な「ハーレム願望」を120%のサービス精神で実現!『民法改正』が描く禁断の一夫多妻制社会

マンガ

更新日:2016/2/29

西暦202X年
東京オリンピックの成功は日本に多大な好景気をもたらした
しかしその後の反動も大きく 経済は再びの低迷
人々は生活へのモチベーションを失い
未来に対する希望を失いかけていた
そこで政府は起死回生を賭けて
ある大胆な政策とその為の法律改正を断行した
一夫多妻制の導入である――

 これは『民法改正~日本は一夫多妻制になった~』(竹内桜:漫画、あかほりさとる:原作/白泉社)第一話冒頭のナレーション部分だ。アクロバティックな設定であり、かなりワクワクするマンガの幕開けである。

 しかし、冷静に考えるとこの設定は相当おかしい。テレビ番組で松本人志が、少子化問題に絡めて一夫多妻制に言及したときもかなり物議を醸したが、このマンガは社会問題に触れているわけでもない。「生活へのモチベーション」や「未来に対する希望」のために、一夫多妻制が導入されてしまっているのだ。

「それ、男のためにしかなってねえじゃねえか!!!」とツッコミたくなるが、それもそのはず。このマンガの原作者は、お客様目線に立って“ハーレムもの”と呼ばれる作品を数多く生み出してきた、あかほりさとる。本作では主人公の浅尾正平が、超美人の彼女・牧村みちるから、「男はハーレムが夢なんでしょ!?」と聞かれる場面があるが、このマンガはそんな“男の罪な夢”を具現化したエンタメ作品なのでだ。

advertisement

 だから主人公のもとには、超カワイイ18歳の女のコや、グラマラスなオトナの女性が次々と現れて、イイ感じになってしまったりする(もとから超美人の彼女がいるのに!)。ちなみに超カワイイ女のコの祖父は牧場主で、「優れた種馬はたくさんの子供を残さねばな」と無駄にナイスアシストなセリフを吐いて、孫娘を嫁がせようとしたりする。

 このように本作は全てが至れり尽せりで、男のハーレム願望の実現に120%のサービス精神で注力してくれるのだ。
見事な夢の世界だからこそ、読者の男性は冷静さを失ってしまう。そして「一夫多妻制の導入」という現実ではあり得ない・許されない世界を、無邪気に楽しめてしまう。夢の世界へと誘うあかほりさとるのテクニックはやはり巧みだし、竹内桜の描く女性キャラは、それぞれが個性的にキュートでチャーミングだ。

 ちなみに「男はハーレムが夢なんでしょ!?」との問いかけに「そうだと言ったら!?」と言った主人公に対し、彼女は「これ斬り落とす」と股間に手を伸ばして返答している。男性読者諸君は、アソコを切り落とされる覚悟で夢の世界に浸ってほしい。

文=古澤誠一郎

白泉社のおすすめ書籍を紹介中!