M1グランプリ出場経験者、作家活動でもコンビを組む

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/28

涼宮ハルヒシリーズなどヒット作が連発されているライトノベル界に、またひとり注目の新進作家が現れた。 ファミ通文庫の登竜門である、第12回えんため大賞小説部門優秀賞を受賞した『犬とハサミは使いよう』は、無類の読書好きの少年が強盗事件に巻き込まれ、あえなく人生を終えてしまうところから始まる。
  
少年は「もっと本が読みたい!」という一念でこの世に蘇ったものの、その姿はなんと犬! そして彼を引き取ったのは、なぜか犬語がわかるドSの美女作家――。不条理な状況をコミカルに描いた新感覚ミステリーだ。    
  
作者の更伊俊介(さらいしゅんすけ)は、大学の同級生2人組が本名から一字ずつとった合作ペンネーム。    工学系の出身で、以前は漫才のコンビを組みM1グランプリに出場したというだけあって話術巧みな<更>さんと、文学部出身でぼそりとつぶやく突っ込みが厳しい<伊>さん。
  
合作はある日突然、小説を書こうと思い立った<更>さんが、自分の書いた原稿を<伊>さんに送りつけてはじまった。「直してくれ」と持ちかけた原稿は5倍の量になって戻ってきて、さらに書き直す。二人は、今もそうやって原稿をキャッチボールしながら書き進めている。本来は孤独な作業であるはずの創作を二人で行う彼らは、こう語る。  
  
「一人で書いていたのでは、自分の想像を超えられない。だけどこいつに渡して直してもらったら絶対に面白いものになると思えるんです」  
  
一方が呟くともう一方が間髪いれず突っ込む、その反応と間合いが更伊俊介の小説の面白さ。信頼し合う二人だからこそ書くことのできる作品世界…更伊俊介から、目が離せない!   
  
(ダ・ヴィンチ7月号 注目の新進作家より)