卵、乳製品を使わないのに、時短でできちゃう! どんなママも重宝する手作りおやつ

食・料理

公開日:2016/3/26

 子どもは3歳で味覚が完成し、5歳で腸が整うと言われている。であるならば、子どもの頃に接したおやつはその後の人生の大きな部分を決めると言っても過言ではない。でも、大人の独りよがりでおいしくないおやつを食べさせられたら、その反動でジャンク大好きな子どもになってしまうかも……。

 アレルギーを発症している子どもがいたり、精製された砂糖や使い古された油に抵抗感を持ったり、という親は多いだろう。子どものおやつに迷うのなら、『子どもと食べたい時短おやつ』(菅野のな/辰巳出版)を手にとってほしい。この本には本当においしいお菓子を短時間で作る方法が書いてある。

子どもと食べたい時短おやつ』(菅野のな/辰巳出版)ヘルシー派、ダイエッターの大人にもお薦めしたい

 まず一読して、本書に収められたレシピたちは、ひとつの確固たる哲学のもとに練り上げられていることがすぐにわかる。それは「本来おやつは食事を補う“補食である”」ということだ。

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 私たち親は、どうしてもおやつを“子どもが欲しがるので仕方なく与えているが、なるべく避けたい甘くてジャンクなもの”と考えがちだ。しかしおやつを成長期の子どもに必要な、3食を補う“補食”として捉え直したらどうだろうか? 必ずしも甘くなくてもいいし、野菜がたっぷり入っていても構わない。考え方を少し変えるだけで、子どもと過ごすおやつの時間が、全く新しい食体験、食育に生まれ変わってしまうのだ。これは類書にはない、本書の非常に大きな特徴だ。

バナナの自然な甘みがたまらない「バナナケーキ」。オーブンで焼くまでの下準備はわずか10分!

 著者の菅野のな氏は、オーガニック料理教室「ワクワクワーク」の代表。1000人以上に教えてきた経験から、子どもの味覚と身体を健やかに育てたいあらゆるママたちのあらゆるニーズを満たすために構成されているのが本書だ。

 たとえばどんなニーズかというと次のとおり。

1 なるべく手作りしたいけど時間がない働くママ
2 自然派食品など素材本来の味に触れさせたいママ
3 卵や乳製品にアレルギーがある子どもを持つママ
4 砂糖、小麦粉もなるべく減らしたいママ
5 野菜好きに育ってほしいママ
6 子どもと一緒におやつ作りを楽しみたいママ

 以上を一言で言えば、“食材の生産者から調理(ママ本人)まで、顔が見える安心安全でおいしいおやつを子どもに食べさせたい”ということに尽きる。そして、時間や予算などの制約さえなければ、このことを望まないママなど、世の中にいるだろうか? そんな制約を可能な限り軽減すべく工夫が凝らされているのが、本書のレシピたちなのだ。

 そこで本書の中でも初心者向けと書いてあった2品「バナナケーキ」と「米粉のガトーショコラ」を実際に作ってみた!

 まずは食材をゲットしようと本書内のポイントを読むと「無駄を削ぎ落としたシンプルなレシピで(中略)、オーガニック食品店やインターネットなどで、ちょっと良い食材を購入するだけでも、味の変化が実感できるはずです。いきなり全部を厳選するのは難しいと思うので、まずは薄力粉などの粉ものからこだわって選ぶのがおすすめです」とのこと。

小麦を使わない「米粉のガトーショコラ」は、刻んだレーズンがアクセント。こちらもオーブンに入れるまでの調理時間は、わずか10分!

 こんなシンプルな材料とレシピで本当においしいのかな!? と半信半疑で早速とりかかると、本当に10分でできるし、本当においしい! びっくりだ。バナナケーキは何度もリピートしたいほどの完成度だし、ガトーショコラも米粉ならではのしっとりとした食感がやみつきになりそう。

 しかも、簡単だから繰り返し作ろうという気にさせるのが本書のレシピの最大のメリットだと、実際に作ってみて実感。まさに、「働くママや自然派ママのための簡単&安心レシピ」の副題に偽りなし。手作りおやつに少しでも興味があるなら、常備していて損はない一冊だ。

文=坂東太郎(id-press)