“地味で決して美人ではない女”に惹かれる理由
更新日:2017/11/28
一方の恭子は3人の男たちと“関係を持つことを許す”。そして、自身がそうした態度を取る理由を一切語らない。悪女でも聖女でもないが、普通の女でもない。恭子とは何者なのか。その謎解きが本書のキモなのだ。
「小説家として読者に対する一番のサービスは“読みやすいこと”だと考えています」と垣根氏は話す。
「今回は結果的にミステリーの手法を取り入れたけど、謎を解かないから(笑)。じゃあ何を書いているかというと“いま書きたい世界”を書いている。ある意味、自分勝手ですよね。だからこそ、“お仕事”として読んでもらえるように書くのは当然だと思います」
サービスと気づかないサービスが本当のサービスだとしたら、垣根氏の小説はまさにそれなのだ。
(ダ・ヴィンチ7月号 今月のブックマークEXより)