仕事や人間関係での問題は「間」の悪さが原因だった!? 「間」の悪さを解消して味方につける方法とは

ビジネス

公開日:2016/3/30


『「間」の悪さは治せる!(集英社新書)』(小林弘幸/集英社)

「間」と聞いて何を思い浮かべるだろうか? 会話の中で沈黙してしまう「間」の悪さ、苦手な人と接する時にうまく「間」がとれないなど、日常生活の中で感じることが多いかもしれない。具体的な原因を突き止めて解決するほど深刻ではないので、「何となく気まずいな」と思う程度で終わることもあるだろう。

 しかし、『「間」の悪さは治せる!(集英社新書)』(小林弘幸/集英社)によると、「間」の持つ影響力を理解していないがために、仕事や人間関係で最悪の状況に陥ってしまうことがあるそうだ。さらに、そのような深刻な「間」の悪さは、偶然ではなく自分に原因があるため、対処することが可能だと指摘されている。

 例えば大切な日に限って風邪をひいてしまう場合。これも一種の「間」の悪さだが、予防するためには「三行日記」がオススメ。著者が考案したものだが、「1行×3テーマ」を日記のように毎日つけていくというものだ。3つのテーマとは、今日一番の失敗(体調が悪かった、嫌なことも含む)、今日一番の感動(嬉しかったことも含む)、明日の目標(関心のあることも含む)。これを書くことで一日の流れを振り返ることができ、前年の同時期の出来事も見直せるため、風邪をひきやすい時期や自分の行動パターンが分かり、予防につなげることができるというわけだ。

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 では、「間」をコントロールするには、どうしたらいいのか。本書では、シンプルな方法として、身近にいる「間」のいい人を観察して真似ることが提案されている。いつも朗らかで穏やかだが、仕事はアグレッシブにする人。継続して結果を出し、周りから信頼と尊敬を勝ち得ている人。自分の失敗談を笑い話にできるような人。そんな人が身近にいたら、その人の話し方や立ち居振る舞いをイメージして、自分にも取り入れてみるのだ。そうしていくうちに、「間」の良さを身につけることができるようになる。

「間」の良さを身につけても、それを乱されてしまうことは必ず起きる。仕事でもプライベートでも、常にベストな状況を作ることは難しいもの。様々な要因が関係するだけに、自分だけで完璧にコントロールすることは不可能だ。そんな時、著者は自分の「間」を整えるルーティーンを見つけることが大切だと指摘。スポーツ選手のように、決まった動作をしたりポーズをとったり、または深呼吸するだけでも、自分の「間」を生み出すことにつながり、お守りのようなものになるのだ。

 呼吸法や動作を訓練するには、ヨガや太極拳などがオススメとのこと。例えばヨガでは、ゆったりとした深い呼吸を続けながら、自分の内側に意識を向けることに集中する。そうすることで、様々な感情が処理されるのだ。実際、欧米では心理療法の一つとして医療の現場に導入されることもあるそうだ。

「間」の重要性やコントロール方法に加えて、本書では「間」を味方につけるための行動習慣も紹介されている。一部をご紹介すると、前夜のうちに翌日の準備をしておく、目的地には30分前に到着する、疲れを感じたら30分早起きをする、人のせいにしない、悩みを紙に書き出す、など。日々の生活習慣や心がけを中心に、すぐに実践できそうな内容が多く含まれている。

 仕事や人間関係で大きなミスをしてしまったけれど、理由がはっきりと分からない、なぜか同じような失敗をしてしまう。そんな方は、本書を参考にしてみてはどうだろうか。「間」の悪さを解消し、うまくコントロールできれば、今よりもスムーズで充実した毎日が送れるようになるかもしれない。

文=松澤友子