ファッション難民なアラサー男子にプロが指南。オシャレにセンスは必要ない!?

マンガ

更新日:2016/4/11

服を着るならこんな風に
※画像は「服を着るならこんな風に」より

 最近、オシャレどころかそもそも「服を買いに行く服がない」など、ファッションに関して悩んでいるアラサー男性がひそかに増えているそうです。

 20代も後半になると、男性も結婚を意識しはじめるなど身だしなみを整える需要が増えるのか、彼ら向けのファッションコーディネートサービスや指南本なども数多くあり、意外と切実な問題なのかもしれませんね。

 そこで、メンズファッションバイヤー&ブロガーであり、マンガ『服を着るならこんな風に』の監修も務めるなど多方面で活躍するMB氏と、Webサイト「脱オタクファッションガイド」の主宰であり、著書『もうミスらない 脱オタクファッションバイブル』が刊行されたばかりの久世氏のお二人に、アラサーならではの服選びのポイントや、この春おすすめのアイテムを教えていただきました!

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Q'ulle
ファッション難民なアラサー男子はどうすればいいの?
(イラスト:縞野やえ)

 

オシャレをするのにセンスやお金はさして必要ではない

――いわゆる“ファッション難民”な男性が服選びでついやってしまうミスってどんなことがあるんでしょう?

MB 印象を変えようとトップスから服選びをはじめることですね。多くの人は印象を変えるには「上着を買えばいいだろう」とトップスをとにかく買いたがるものですが、それではいつまでもオシャレになりにくいのです。

 コーディネートの印象を大きく変えるのは確かにトップスですが、コーディネートの印象を整えるのはボトムスの役目。整えていない状態で、あれやこれやと上だけ変えても印象が変わるだけで、オシャレにはなりません。10年間以上アパレル業界にいますが、この失敗を繰り返す人は本当に多いです。

――なるほど!これは意外な落とし穴ですね。私もトップスばかり選んでしまう傾向があります。一方、ご自身もオタクファッションからの脱出経験がある久世さんは、どう思いますか?

久世 多くの人は高校・大学デビュー時に何とかしようとするものですが、特にオタクの場合は小中学生時代のファッションを引きずっている方が多いです。「脱オタクファッションバイブル」の主人公ジュンイチは、まさにこの典型。チェックシャツの信者です。アラサーともなれば、その傾向はより保守的に向かいます。

脱オタクファッションバイブル
※画像は「脱オタクファッションバイブル」より
同書では脱オタクな服選びをマンガで分かりやすく解説している

 オシャレになろうと脱出しようとしても、「新しいチェックのシャツ」を買おうとするなど、自己流の負のスパイラルに陥っている人が多いと思います。さらにもう一歩進むと、男らしさを求めてハードボイルド過ぎるファッションや、ガチのミリタリーファッションを極めようとするなど、おしゃれには程遠い世界にいってしまう人もいます。

――年齢とともにこじらせ具合も深刻化するというわけですね。では、ミスらない服選びの第一歩は何でしょうか?

MB ボトムスから選ぶことです。ここに関しては論理的な法則が存在するので、ぜひ私の本をお読みいただきたいですが、簡単に説明すると、男性はドレスライクな印象を全体の6~7割ほど持っておくと「大人っぽい=オシャレ」な印象になりやすいのです。

 「ドレスライク」とは大人っぽさの象徴であり、スーツに代表されます。ボトムスにスーツの印象を持ってくることが肝要ですが、だからといってスラックスを穿いては「仕事帰り」のようにも思われがち。そこでカジュアルなデニムでありながら、「細身で黒」というスーツスラックスの要素を持った黒スキニーデニムを選ぶことがオススメです。

服を着るならこんな風に
※画像は「服を着るならこんな風に」より
同書ではMB氏のロジカルなオシャレ術をマンガで学べる

久世 重要なのは、一刻も早く「自己流」から脱することですね。まずは、ファッション雑誌を定期購読するとよいでしょう。自分がどうミスっているのか、何を選べばいいのか、じっくりセンスを養うのが一番の近道だと思います。20代~30代であれば、「Men’s JOKER」「POPEYE」「Safari」などがおすすめです。決して流行を追う必要はありません。世の中の流れを何となくつかめればOKです。

――急がば回れという感じですね。その他、気をつけるべき点はありますか?

久世 ついつい「服」を買うことに目線が行きがちですが、まずは一歩踏みとどまって、最も基本となる「清潔感」「髪型」「眉毛」「靴」に気を配ること。オタクが「オタクっぽく」見えてしまう原因は正にここにあるのではないでしょうか。この4項目ができて初めて服がおしゃれに見えるようになりますし、逆にこの4項目さえできていれば、服はイマイチでも何とかなります

 「清潔感」とは、口臭、体臭、肌・爪のケア。「髪型・眉毛」は美容室に月1回は通い今風に整えること。「靴」は奇をてらわずシンプルなローテクシューズなどに履き替えることです。

 ファッションについていえば、アラサー相応に見える「きちんと感」が大切だと思います。中高生の着るような服ではガキっぽい、かと言ってオッサンには見られたくはないですよね。例えば、Tシャツにはジャケットやシャツを一枚重ねるとか、下は綺麗めのチノパンを穿くとか、下品にならないようにひとつひとつ気を使いたい年代です。

脱オタクファッションバイブル
※画像は「脱オタクファッションバイブル」より

――単に服を買えそろえれば変われるわけではないと。仰るとおりだと思います。MBさんは、ミスをしないためにまず考えなければならないことは何だと思いますか?

MB 先ほども言いましたが、「ファッションは感覚で組み立てるものではなく、論理的に構築可能である」と知ることですね。「オシャレかどうか」というのは他の人から客観的に判断されるもので、そこに法則や定理は存在します。似た環境で育った人の価値観が千差万別なワケがありませんから。

 そして、10人中7人に「オシャレ」と言わせる定理くらいは存在します。オシャレになるためには、その定理法則を意識すれば簡単に実現できます。「ミス」とはその定理から外れたもの。感覚やセンスやトライアンドエラーが必要なのではなく、1+1=2のように論理的に誰もが作れるものなのです。

 体当たり的に試行錯誤するのではなく、法則を知ることから始めてください。1日あれば誰でもオシャレになれます。感覚もセンスもお金もさして必要ありません。

――お二人のお話を聞いて、いかに自分を客観視できるかが、まずは重要なのだなと感じました。ところで、最近急増しているファストファッションブランドでも賢く使えばオシャレ可能ですか?

MB 上述の定理法則を意識すれば、ファストファッションブランドだけでもオシャレは構築できます。賢い使い方…と言うより、はじめは「ファストファッションのみ」で結構です。それだけで街ですれ違った人に「あの人オシャレだね」と言わせることくらいならできます。

 それ以上を望むのであれば、ベーシックから少し離れる必要もあるのでブランド物なども多少は必要になるでしょうが、平均点以上、中級程度のオシャレを目指すのであればファストファッションでも、まずは十分です。

久世 H&Mなどの海外ブランドはサイズ表記がわかりにくいので初心者にはハードルが高そうです。ユニクロであれば、ジーンズ、チノパン、靴下、下着など、特に下半身(ボトムス)についてはとっても使いやすいのでおすすめ。

 ただし、上半身(トップス)についてはシルエットがイマイチなものも多いので要注意。トップスは、「UNITED ARROWS green label relaxing」など大手セレクトショップのお手ごろ価格店舗や、通販も充実している「graniph(グラニフ)」などの専門店で買うのがおすすめです。

――お手ごろ価格ではじめられるのは良いですね! では最後に今春おすすめのファッションアイテムを1つ教えてください。

久世 清潔感の高い白のローテクシューズから始めては。超定番ですが、2014年に生産再開した「adidas stan smith」は、年齢やシーズン問わず誰にでもおすすめできます。

adidas stan smith
※写真はadidas公式サイトより

MB ユニクロとルメールのコラボ企画がオススメです。どれかひとつを、となると難しいですが…、「エクストラファインコットンブロードコンバーチブルカラーシャツ」などいかがでしょう。形も素材もデザインも文句無しのシャツです。メンズの定番アイテムシャツの極上品が3990円で手に入ります。

 「安かろう悪かろう」などと物も見ずに言う人がいますが、数を作れば価格を下げることはできます。世界有数の生産背景を持つユニクロだからこそ3990円になるのであって、これとまったく同じものを国内のブランドに作れと言ったら、多くは1万円を切ることができないでしょう。そのくらい超お買い得なアイテムです。

Q'ulle
※写真はUNIQLO公式サイトより

――ありがとうございました!

 

もうミスらない 脱オタクファッションバイブル

もうミスらない 脱オタクファッションバイブル

著:久世、漫画:水月とーこ/KADOKAWA

「オタクはやめないがファッションという要素も取り入れてみようか?」「そろそろ一般社会と交流してみようか?」という動機から「人と気軽に話せるファッション」を目指すおしゃれ過ぎないファッション指南本!

服を着るならこんなふうに

服を着るならこんなふうに(2)

著:縞野やえ、監修:MB /KADOKAWA

センスや大金がなくてもオシャレはできる! そんな理論を紹介する「服着る」の第2巻が登場。気軽にオシャレを目指すため、より具体的なアイテム&コーディネイトを紹介して、ロジカルファッションライフをお手伝い!