「河西健吾」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑】

アニメ

公開日:2016/3/31

河西健吾

編集部が注目する声優に、声優を目指したきっかけや、初めてのお仕事、そしてプライベートなことまで、気になるあれこれについてインタビューを行い、さらに撮り下ろしのグラビアも交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。

第112回となる今回は、「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の三日月・オーガス役、Webアニメ「モンスターストライク」の影月明役などを演じる河西健吾さんです。

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――河西さんが声優になろうと思ったきっかけは?

河西:子供の頃からアニメやゲームが大好きだったので。高校がエスカレーター式だったので、そのまま進学することもできたんですけど、大学に行ってまた勉強をして、それから就職をする、というのは面白くないなというか、自分はそれで大丈夫かなって思ったんです。その時に、何かもっと面白いことができたらと思い、エンターテイメントの世界はどうなんだろうと。でも、パソコンとかプログラミングとか、絵や文章を書くというのを自分でできる気がしなかったので、その身ひとつでできる役者の道がいいかなと思ったのがきっかけです。

――その後、AMG大阪校に通われたんですね。

河西:体験説明会に行った時に、在校生の方と一緒にアフレコをすることになって、お芝居自体が初めてだったし、最初は緊張して声が出なかったと思うんですけど、もしここで失敗したり、笑われたりしても、これからの人生に影響が出るわけではないだろうと度胸を決めて。今思い返せば、思い切り演じられた気はします。この体験説明会で、声優さんって楽しそうだなと思いました。

――アニメやゲームの他に、漫画も読んでいましたか。

河西:実家が喫茶店で、いつもジャンプ、サンデー、マガジンが置いてあったので、それをずっと読んでいて、影響を受けたことは多いのかなと思います。今も自分で買って読んでます。

――声優の仕事って、どんなイメージがありましたか?

河西:「トランスフォーマー」っていうCGアニメーションを友達と一緒に見ていた頃があって、それがすごく特徴的なアニメで。今は声優をしているので、アドリブの芝居がけっこう入っていたと思うんですけど、その時はテレビの中のキャラクターたちが面白いことを言っているんだろうと思ってました。それをみんなで真似したりするのは流行ってましたね。

河西健吾

――アニメをやりたいとか、吹き替え中心でいきたい、というイメージはありましたか?

河西:進みたいジャンルとかは特になくて、とにかく声のお仕事がしたいっていう気持ちでした。アニメの仕事が増えたのは、僕の声の特色に合うのがアニメだったというのもあると思います。

――5〜6年前にツイッターを始めたきっかけは?

河西:こういうお仕事なので、人の目に触れる場が増えたほうがいいだろうっていうマネージャーさんからの助言もあって。最初はブログを書いてたんですよ。その後にツイッターが出てきて、やっぱり手軽じゃないですか、だから今はブログよりツイッターのほうが、更新が多いです。ツイッターって、フォローさえしていれば、開くだけでつぶやきを見られるのが気軽でいいなと。

――ファンの方と触れ合える場でもありそうです。

河西:出演させていただく作品や、演じているキャラクターが好きだと言ってくださる方々と触れ合う場は、やっぱり大切だなと思います。ツイッターで質問されたことには、できるだけお返ししたいなっていう気持ちもありますね。

――「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」では主人公の三日月・オーガス役を。最初に演じた時はどんな印象でしたか?

河西:何を考えているのか分からないようなキャラクターだったので、最初は、何を言いたいんだろうってずっと考えながら演じていました。そういう意味では役に振り回されている感じがあったし、真ん中の役をいただくのが初めてなので、緊張もありました。

――その後、三日月との向き合い方は変わったんでしょうか。

河西:第1話は、どういうキャラクターなのかを分かりやすく提示しないと、という意識もあったんですけど、話が進むにつれて、三日月自身の人間味が出てきたし、自分との共通点を見つけられて、演じやすくはなりました。こんな風に考えてるのかなと想像して、そこに自分との共通点を見つけて、摺り合わせながら演じていく感じでした。3話とか4話あたりからは、他の方々のセリフを聞く余裕もできて、楽しみながら演じられるようになりましたね。

河西健吾

――三日月との共通点というと?

河西:まず中心に自分を置いて、その周りにいる人間に対してはすごく仲良く接するんですけど、その外にいる人たちに対してはよそよそしいというか。でも、仲間というか、この人好きだなと認めた時には、すごく距離が近づきます。三日月も、回を重ねた後にクーデリアと握手をしていたので、ああいう感じが自分と似てるのかなと感じますね。

――三日月が、自分の感情とは関係なさそうなところで、クーデリアやアトラに優しくする甘めのシーンもありましたが、そんな一面についてはどうですか…?

河西:僕は昔から八方美人と言われることがあって、漫画の影響かもしれませんけど、女性には優しく接したほうがいいのかなというのはあります。さすがに、あのシーンのようにはしませんけど。そういった面では、似ているかもしれません。

――アフレコではアドリブもありましたか?

河西:基本的には台本通りに演じているんですけど、おやっさん(ナディ・雪之丞・カッサパ)役の斧アツシさんは、気持ちを優先している方で。おやっさんだったらこう言うんじゃないかと、少しセリフをアレンジしたりとか。アドリブは斧さんが多かったと思います。

――おやっさんに影響されて、アドリブが出てしまうようなことも…?

河西:影響は受けていますね。宇宙でタービンズと戦う時に、おやっさんと三日月が、格納庫で整備が間に合わないっていう話をするシーンがあって、そこでは少しアドリブを入れました。テストの時に、この2人の関係性だったら、もっと違う感じでできるんじゃないかって僕のほうが思って。ちょっと冗談めいてセリフを喋ったら、おやっさんのほうもそれを受け止めてくれたのか、少しセリフを変えていて。実際にそののままオンエアされていました。

――これまでにもたくさんの作品に出演されていますが、アドリブは積極的に入れるほうですか?

河西:入れたいなと思う瞬間があれば、入れています。本当はテストの時に入れたほうがいいんですが、本番に思いついたことを入れることもありますね。自分の出番を待っている時に、ここに一言入れたほうが面白いんじゃないか、と思うことがあって。

河西健吾

――アフレコ前に必ずやっていることは?

河西:人によっては、たとえばスポーツ選手がルーティンワークをこなしてから平常心で試合に臨む、といったことがあると思うんですけど、僕の場合は特にないですね。朝の時間帯のアフレコだったら、仕事前にちゃんとご飯を食べていくとか、それくらいです。キャラクターをガチガチに固めたくないこともあって、台本チェックも1回2回だけにしています。あとは、現場に行ってからダメ出しがあったものに対応するようにしています。

――今までの出演作の中で、忘れられない作品は?

河西:吹き替えの話になりますけど、初めてレギュラー番組をもたせてもらった作品で、僕が演じた男の子が、スピンオフではないですけど、別作品の映画の主役を演じることになって。音響監督さんがその作品でも僕を呼んでくださったことが嬉しくて、忘れられない作品のひとつですね。

――プライベートについても伺います。お仕事以外の時間は何をしていますか?

河西:けっこうインドア派なので、誘われたら外に出かけますけど、お誘いがなければ普通に家で過ごしますね。洗濯をしてご飯を食べて、チェックするものをチェックして、ゴロゴロしたりとか(笑)。ゆっくりしていたい派です。

――休日にゲームをすることも?

河西:ゲームは、今はスマホアプリが多いので、時間がある時にすることが多いです。電車移動の時とか、テレビを観ながらいじってたりとか。王道というか、みんなが知ってそうなゲームは一通りプレイしていると思います。パズドラ、白猫プロジェクト、ツムツム、あとはWebアニメに出演させていただいているモンスターストライクとか。雑誌とか、お仕事で知って始めるパターンが多いですね。

河西健吾

――声優仲間で仲がいい方は?

河西:オルフェンズで共演していた村田大志さん。年が近いこともあって仲良くさせてもらってます。彼のほうが年上なんですけど、僕が彼をいじったりして…。彼自身は、あまりそれを良しとしてないかもしれないんですけど(笑)。

――好きになってしまったキャラクターはいますか?

河西:CLAMPさんの「魔法騎士レイアース」が無性に好きで、OVAとかも買って観てたんですけど、その主人公の獅堂光っていう女の子がいいな〜って思っていた時期はありました。すごく活発な女の子で。

――自分が演じた役に影響されて、自分の生活や性格が変わったような経験はありますか?

河西:吹き替えは、海外の役者さんのほぼ出来上がっている演技をヘッドホンで日本語に置き換えていくっていう手法なんですけど、それに対して、アニメはアフレコの段階でまだ絵が仕上がっていないことが多いし、自分で想像しながらキャラクターを仕上げていくことが多いので、入り込んでしまうっていう意味では、アニメのほうが影響を受けやすいかもしれませんね。

――これから演じてみたい役は?

河西:主役より、ライバルとか二番手にいる役を演じたいです。以前は、戦隊モノだったらレッドがいいとか、熱血な役が演じたいと思っていたんですけど、今は、僕の声質的にクールなほうが似合うと思っているので。三日月はたまたまクールなキャラクターですけど、たいがいの作品でクールなキャラクターが二番手にいたりするんですよ。自分の声を生かせるのは、そのポジションなのかなっていう気がしています。

河西健吾

――声優のお仕事の幅が広がっていますが、これから挑戦してみたいことはありますか。

河西:お仕事として声を掛けてもらったことに対しては、真摯にやらせていただきます、という姿勢です。自分ならやれると見込んで振っていただいたことだと思うので。それがダンスなのか、歌なのかは分かりませんが、自分から何かに挑戦したいというよりは、いただいたものに対して全力でやっていきたい、という気持ちが強いです。

――これからのご活躍も楽しみにしております! 最後に、読者へのメッセージをお願いします。

河西:この仕事には定年がないので、できれば死ぬ時まで、役者・声優でいられたらと思います。最近は、以前よりも声優という職業が世の中に認知されてきているので、こういった記事を見て声優の仕事を目指す方もいると思います。そういう方に対して言いたいのは、この仕事はすごく楽しいこともあるし、厳しいこともあるということです。でも、自分がその道に進みたいと思ったのなら、頑張れると思います。ひとつ言えるのは、長く続けていけば、いつかすごくいいことがある、ということです。その時を目指して頑張るといいんじゃないかなと思います。

【声優図鑑】河西健吾さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

河西健吾

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取材・文=麻布たぬ、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト