闘う“ドローン型”新入社員のために 水辺の生き物たちが教えてくれる生き残るための心得3つ!

ビジネス

公開日:2016/4/11


『弱い雄(オトコ)の戦略に学べ!』(駒草出版)
『弱い雄(オトコ)の戦略に学べ!』(駒草出版)

 毎年恒例となる新入社員のタイプが発表された。公益財団法人 日本生産性本部によれば、今年は「ドローン型」。就活解禁日程の変更や昨今の経済情勢の変化という「強い風」に煽られつつも、自律飛行でどうにか「就職」という目標地点へたどりついたのがその理由だという。

 さて、すでにたくさんの新入社員が活躍しているが、学生から社会人へという慣れない環境の変化にいまだ四苦八苦する人たちもいることだろう。そんなとき、道しるべとなってくれるのが書籍『弱い雄(オトコ)の戦略に学べ!』(駒草出版)である。

 著者は、水生生物を主とするネイチャーフォトグラファーの内山りゅう。過酷な自然界を生き抜く動物や植物といった“センセイ”たちが、新人、管理職、経営者、そして、私たち人間に生き残るための格言を提示してくれる。

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ビワコオオナマズ先生は説く「勝負事に馴れあいは禁物」

「同期の社員は、同じリングに上がった相手ですから、ゴングが鳴れば、敵のひとりに過ぎません」

 今は対等な関係の同期も、いずれは出世レースのライバルとなる。ヒゲ面で貫禄ある“ビワコオオナマズ”先生は「勝負事に馴れあいは禁物」と教えてくれる。大きなもので体長が1メートルにも達するというオオナマズは、孵化してから1週間ほどで共食いをはじめるという。

 いうなれば兄弟姉妹ですら、自身が生き残るための血や肉となる。会社も同じで弱肉強食。ビジネスとは勝ち負けを決める勝負事であり、他の同期が自分より早く出世してしまえば、ねたみや後悔が必ずや生まれてくるもの。それならば、頂点をめざすために貪欲になるしかない。

ボウズハゼ先生は説く「進み続ければ道は開ける」

「人生の壁にぶち当たったときには、あきらめたり、無理な飛躍もせず、粘り強くその壁にとりついて、少しでも上にのぼる努力を続けることが大切です」

 小さな1歩に見えたとしても、歩き続ければ必ず壁は越えられる。小柄で愛くるしい“ボウズハゼ先生”は「一歩ずつでも進み続ければ、必ず道は開ける」と教えてくれる。体長わずか10センチ~15センチである淡水魚のハゼは、水の流れが速い渓流で口とお腹にある吸盤を駆使して、5メートルの壁を進んでいくという。

 海へと渡り越冬した稚魚はやがて、生き残るために春の川を遡上する。先輩や上司からの無茶ぶり、未経験の仕事を任される瞬間など、新人の頃には特に様々な困難を目の前にする機会が多い。しかし、乗り越えられない壁はない。そのさなかでもできることは何かと問いかけ、乗り越えようとする姿勢が必ずや自分の糧になる。

カタツムリ先生は説く「手強い取引先は心をまずくすぐるべし」

「商談をするつもりがない相手には、お決まりの営業トークは役に立ちません。まず相手が商談をしたくなる話をするべきです」

 営業マンにとって成果を上げるのは尽きない悩みである。雨の日におなじみの“カタツムリ”先生は「スキンシップでその気にさせる」と教えてくれる。でんでん虫としても知られるカタツムリは雌雄同体。個体同士が出会うと「恋矢(れんし)」と呼ばれる硬い針状の器官で相手とつつき合い、子孫を宿すために精子交換をするという。

 いわば交尾のときに、たがいの気持ちを高め合うための行為。営業も取引先と顔を見合わせ、どれだけ相手を“その気にさせるか”が結果を出せるかどうかの分かれ目となる。「うちは結構ですから」と心を開いてくれない相手に、杓子定規な売り込み方は通用しない。商談しはじめることがそもそもの目的ならば、相手の心をくすぐるためのトークを心がけるのが必要だ。

 けなげに生きる水生生物たちの言葉はどれも、私たちのハートを芯から揺さぶってくれる。会社員としての生活はまだまだ先が長い。自然界で生き残る彼らの言葉は、必ずやみなさんの心に寄り添ってくれるはずである。

文=カネコシュウヘイ

■『弱い雄(オトコ)の戦略に学べ!
著:内山りゅう
価格:1728円(税込)
発売日:2016年4月11日
出版社:駒草出版

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