モー娘。、でんぱ、さ学…… 歴代リーダー10人が語るアイドルの“リーダー論”

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公開日:2016/4/14


『リーダーの心得 ~アイドルたちのリーダー論~』(CD&DLでーた編集部・編/KADOKAWA)

 十人十色といわれるように、グループのリーダー像というのもそれぞれの個性が表れるものである。なかでも今、リーダーが目立つ存在のひとつにアイドルグループがある。

 グループの方向性もリーダーのタイプやまとめ方により決まるイメージもあるが、音楽誌『CD & DL でーた』編集部による『リーダーの心得 ~アイドルたちのリーダー論~』(CD&DLでーた編集部・編/KADOKAWA)では、全10グループのリーダーたちが、実体験にもとづくそれぞれの“リーダー像”を明かしてくれている。

モー娘。8代目リーダー・道重さゆみ~叱る時は“モヤモヤを残さない”~

 2014年11月26日にモーニング娘。´14を卒業した8代目リーダー・道重さゆみは、その根底に「プライドをもたない」という考え方があったという。就任前、バラエティでのナルシストキャラが目立つ印象もあったが、リーダーとなってからは「自分が一番面白ければいい」「写真は自分が一番可愛く写っていればいい」という考え方を封印。一転して「グループのことを考えようと思って変わっていきました」と明かす。

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 新人時代にはたくさん怒られて「当時はなぜ『怒られないといけないんだろう?』と思いました」と振り返るが、その経験から、叱る場面でも“モヤモヤを残さない”ということを意識。「叱る時は厳しく言っても、その後に『じゃあね、バイバーイ』と明るく言うようになりました」と、フォローを挟もうと心がけていたという。

でんぱ組.inc リーダー・相沢梨紗~自分は“攻め”より“守る”タイプ~

 一見、性格やキャラもバラバラなようにみえる、強烈な個性が持ち味のでんぱ組.inc。グループを率いるのは、リーダー・相沢梨紗だ。世間の数あるリーダー本も「でんぱ組には何も生かせませんでした(爆笑)」と話すが、結成当初から「物販つくったり、衣装製作したりとか、みんなこの時間に集まってレッスンしようと声をかけたり」と、リーダーっぽいことをやっていたと活動を振り返る。

 正式にリーダーとなった現在は、自身を“攻め”より“守る”タイプだと分析。はっきりとモノを言えるメンバーを「そういう子は攻撃されちゃうじゃないですか」と見守りながら、ポンッと何か一言を付け加えることで「スッて守る役」と話す。グループ全体を俯瞰して見守るタイプのようで、「私の場合、メンバーが助けてくれるのが強み」だと感謝も伝える。

さくら学院 5代目生徒会長・磯野莉音~パフォーマンスで引っ張る~

 成長期限定ユニットのさくら学院。2016年3月27日に卒業を迎えた、5代目生徒会長の磯野莉音は就任当初、振り付けに力を入れたと話す。2015年度は特に、グループの歴史上、もっとも多くの新メンバーを迎え入れたが、「転入生にはダンス初心者もわりに多かったので、12人で一つのものをつくり上げるということが大変でした」と回想する。

 理想のリーダー像はモーニング娘。卒業生の高橋愛で「リーダーでありながらちゃんと後輩たちに寄り添ってあげているところ」がその理由だと話す。加えて、リーダーとは「パフォーマンスで引っ張っていくイメージが私の中では強い」と語り、「みんなが成長するためには、言葉だけじゃ伝えきれないものがたくさんあると思うので、自分自身で気づいてほしい」と、活動時には心がけていたという。

 ステージで輝き続ける数々のアイドルグループ。しかし、個性のあるメンバーたちをまとめ上げるというのは、エンターテインメントの世界に限った話ではない。会社や組織、チームなどで一丸となり、何かに取り組む人たちすべてにとって、彼女たちの経験や証言は大きなヒントとなりうるはずだ。

文=カネコシュウヘイ