バーの店主が語る、恋愛・結婚・セックスの話―素朴な疑問にお答えします

恋愛・結婚

公開日:2016/4/21


『ワイングラスのむこう側』(林伸次/KADOKAWA)

 恋愛や結婚、セックスについて、女性なら男性が、男性なら女性が、本当のところどう思っているのか、気になることはあるだろう。そもそも、男性と女性では考え方が違うため、すれ違うことも多い。男女の違いにまつわる書籍も多数出版されているが、「理論ではなく、リアルで分かりやすいアドバイスが欲しい!」と感じている人も少なくないと思う。

 そんな方にオススメしたいのが、『ワイングラスのむこう側』(林伸次/KADOKAWA)だ。著者は20年間バーテンダーをやっており、現在は渋谷にある「bar bossa(バールボッサ)」というバーの店主。日々、カウンター越しに “恋愛にまつわるいろんなこと”を目撃してきた。バーという場所柄、酔った勢いで周囲の人には言えないようなことを言う客も多く、著者は客と一緒に解決策を探す。

 その中で、(本人に了承を得たうえで)客との実際のやり取りから、著者が出した結論やアドバイスをまとめたのが本書なのだ。

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 まずは男性に向けてのメッセージ。嫌われる男には大きく分けて3つのタイプがあるそうだ。それは、不潔な人、ケチな人、誠実ではない人。「そりゃ、そうでしょ」と思った男性陣も多いかもしれないが、“女性の考える”ケチ、不潔、不誠実を本当に理解しているだろうか? 不安に思った方は、本書で内容をチェックしてみよう。

 デートまでこぎつけたら、参考になりそうなのが、キスをする方法についてのアドバイス。実体験に基づいているので、チャンスがあったら実行してみてもいいかもしれない。女性が男性にキスをさせない方法も紹介されているので、相手の女性にそこにあるような態度をとられた時には、その場はきっぱりとあきらめよう。

 もちろん、女性に向けたメッセージも充実している。例えば、恋人の作り方。著者によると、バーテンダーが女性客から最も言われる言葉は、「私、出会いがないんです。誰か良い人がいたら紹介してください」だそう。そんな方には、月に1回、知らない男性と会って食事をすることをオススメしている。タイプではなくても、とにかく2人で話をすると、意外な共通点が見つかることもあるし、毎月1人と会えば、出会いの確率も上がるからだ。

 友達で終わりそうな彼を確実に落とす方法も、気になるところ。結論としては、女性から押すのはアリではないらしい。じゃあ、どうすれば…という方のために、実際の成功談が紹介されているので、参考にしてみてほしい。

 後半では、セックス、結婚、浮気と別れについて語られている。ここでも参考になる事実・アドバイスが満載だ。例えば、セックスについては男女の性のすれ違いがポイント。男性が興奮するシチュエーションや、女性が男性に望む四箇条などが紹介されているので、現状に満足していない方は実践してみてもいいかもしれない。

 他にも、結婚を決める時にチェックするポイントや、浮気する男の見分け方、女性が別れを決意する時など、既婚者にも独身者にも、役立つアドバイスが盛り込まれている。

 本書で紹介されている例やアドバイスは、すべてが目新しいことではない。しかし、読んだ瞬間に「うんうん」「なるほど」と、同性のことには納得し、異性のことには改めて理解が深まる、そんな内容だ。著者の語り口がほのぼのとしているので、本当にカウンター越しにアドバイスをもらっているような気持ちになってくる。幅広い方にオススメしたい一冊だ。

文=松澤友子