「コミュニケーション力」は口のうまさではない! 無理なく自然に人と接する方法

人間関係

公開日:2016/5/4


『誰と一緒でも疲れない「聴き方・話し方」のコツ』(水島広子/日本実業出版社)

 最近、必要とされている人材は「コミュニケーション力が高い人」ということをよく耳にします。実際、「コミュニケーション力が高い人」を目指し、努力している人がたくさんいます。ただ、一方で「コミュニケ―ション力」向上のために、頑張って話し、空気を読んで聞き役にまわるなど、本来とは違う自分を演じて疲れてしまっている人も少なくないようです。

 どんな人とでも無理せず、自然に接するにはどうしたらいいのか。『誰と一緒でも疲れない「聴き方・話し方」のコツ』の著者である水島広子氏から、大切な4つのことを教えてもらいましょう。

「コミュニケーション力」の勘違い

 そもそも、コミュニケーション力って何なのでしょう?

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 一般的に、「コミュニケーション上手」な人というと、会話を盛り上げ話の中心にいるような人を思い浮かべます。そういう人と比べて「自分は口下手だから無理」と落ち込んでしまったり……。

 しかし、コミュニケーションを行う場には必ず、相手がいます。単なる盛り上げ上手ではなく、相手と向き合い、その場その場での目的を考えながら、うまくやりとりする力がコミュニケーション力である、と水島氏は著書で述べています。

 そもそも、コミュニケーションとは人と人とのふれあいだと考えれば、目的に応じて相手とうまくやりとりできることがコミュニケーション力だと言うことができます。それは必ずしも「輪の中心に入ってみんなを盛り上げる」という形だけではないでしょう。(11ページ)

 コミュニケーションの役割がわかったところで、続いて、疲れないコミュニケーションのために心がけることを見ていきます。

Point1「自然」は嘘をつかないこと

 コミュニケーションを行う上で、「無理なく」「自然に」というのは、多くの人の願いです。書店に行けば、コミュニケーションに関する本があふれていて、色々なテクニックを学ぶことができますが、そうしたテクニックを意識するあまり、かえって不自然な態度になってしまうことがあります。

 例えば、初対面の相手が慣れ慣れしいと、たいていの人は警戒心を感じます。それは「自然さ」に違和感を感じるからです。つまり、「自然」な振る舞いを無理に演じないことが大切なのです。

しばらく会わなかった相手と久しぶりに会って、何のブランクもないように振る舞うのは、「自然」ではなく、むしろわざとらしいことなのかもしれません。
73ページ

Point2「聴くこと」に集中すると自然体でいやすい

 相手に対して「自然に振る舞わなくては」と思うほど、人は不自然でぎこちなくなってしまいます。それは、「自然に振る舞わなくては」という意識にとらわれてしまっている結果です。

 人は、何かに夢中になっているとき、余計なことを考えず、ありのままの自分で目の前のことに向き合えるものです。その時、私たちは最も「自然」でいることができています。「自分はどう見られているだろうか」という意識は脇に置き、「聴く」ことに集中するのが最も自然に振る舞うコツなのです。

「今」に集中するときこそ、自然体の、ありのままの自分でいるとき。
79ページ

Point3自分の「苦手」を伝える

「考えをまとめるのが苦手な人」「話をするのが得意な人」。コミュニケーションをとるうえでは、話し手・聴き手のもつ個性が関わってきます。その人にとっての自然体をお互いが理解しておかないと、スムーズなコミュニケーションになりません。例えば、「私は緊張してしまうので、声が小さくて聞き取りづらかったらごめんなさい」というように、初めに自分の特徴や苦手なことを相手に説明しておくことで、相手に合わせて背伸びをしたり、自分を無理に変えたりする必要がなくなります。

自分の特徴を説明できるのも、自分を知ってもらうためのとても大切な「コミュニケーション力」です。誤解を防ぐという明確な効果があるからです。
82ページ

89ページ

Point4関係性の限界を認める

 自分に「苦手」があるのと同じように、相手にも「苦手」があります。そして、その相性によっては、どうしてもうまが合わない人がでてくることは避けようがありません。特に「楽しい会話」をしようとなると、相性が求められる割合は高くなります。しかしその時は無理をせず、合わないものは合わないと認め、ほど良い距離感を保つことが、相手にとっても自分にとっても楽な関係となります。

どんな相手とも楽しく会話できる、という幻想をまずは手放す必要があります。
88ページ

 無理をしないこと。自分がリラックスすること。それが相手に安心感を与えることになり、自然なコミュニケーションにつながります。自分らしく真摯に相手に向き合うことを心がければ、いつの間にか「コミュニケーション上手」と言われる存在になれるでしょう。

文=日本実業出版社