異例の2作品受賞! 第20回「手塚治虫文化賞<マンガ大賞>」は『よつばと!』『鼻紙写楽』に決定

マンガ

公開日:2016/4/27

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    (C)KIYOHIKO AZUMA/YOTUBA SUTAZIO
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 記念すべき20回を迎える「手塚治虫文化賞」の<マンガ大賞>、なんと今年は異例の2作品受賞。マンガ大賞受賞作品は、あずまきよひこ・著『よつばと!』と一ノ関圭・著『鼻紙写楽』の2作品が選ばれたことが発表された。

 セミをとったり、プールに行ったり、泣いたり、笑ったり。だいたい1日1話のペースでゆっくりと進む、ちょっとかわった女の子「よつば」と、とーちゃんと、まわりの人たちとのなにげない日常を描いた『よつばと!』。同書は13巻まで刊行され、累計発行部数1,300万部を突破した大人気作。受賞歴も豊富で、2006年度の第10回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞など、さまざまな賞を受賞している。海外出版についても英語ほか13カ国語に翻訳され、23の国と地域での発行部数は200万部を突破している。

 この栄誉ある賞を受賞したことに、『よつばと!』が連載されている『月刊コミック電撃大王』編集部も喜びを隠せない。編集部からは、「あずまきよひこ先生が変わらず描き続けてきた『よつばと!』の世界は、今や年齢も性別もジャンルも超えて、広く愛されるものとなりました。」「これからもよつばと一緒に笑って、泣いて、怒って、楽しい日々を過ごせる作品をお届けしたいと思っていますので、よろしくお願いします。このたびはどうもありがとうございました。そしてあずま先生、おめでとうございます!」というコメントが発表された。

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 現在、『よつばと!』の特設サイトでは、コミックスからよりすぐりのエピソードを250ページ以上にわたって無料で読むことができる。今回の受賞を記念し、さらに最新13巻に収録したエピソード2話分も追加された。「まだ読んだことがないが、気になる!」という人は、これを機にまずは試し読みで『よつばと!』の世界観を楽しんでみてはいかがだろうか?

 ちょっと変わった女の子の日常を描いた『よつばと!』とは、全く異なる作品がもう一つのマンガ大賞として受賞した。伝説の漫画家・一ノ関圭の描いた24年ぶりの最新作『鼻紙写楽』だ。

 同書は、江戸期が舞台。町方役人の次男坊・勝十郎は成長し、芝居小屋で下働きをしていた。しかし、兄・一馬が殺され、勝十郎は事件に巻き込まれていく。絵師伊佐次が東洲斎写楽になるまでの苦労譚や、名優五代目市川団十郎と息子の芸談と確執、勝十郎恋と事件の中での葛藤を主軸に物語が進んでいく本作。幻の漫画家・一ノ関圭の作品特有の絵の迫力、そしてフィクションだと感じさせないストーリーは今も健在だ。

 著者である一ノ関圭は、『茶箱広重』『らんぷの下』などの名作で知られる伝説の漫画家だ。同書は2003年~2009年『ビックコミック増刊号』で不定期連載された全8話を大幅に加筆・再構成。三部作としてついに単行本化された。代表作『茶箱広重』をこえる24年ぶりの傑作最新作がマンガ大賞受賞と、その実力を再度知らしめる結果となった。

 「第20回手塚治虫文化賞」にノミネートされたのは、高野苺の『orange』、野田サトルの『ゴールデンカムイ』、作画・谷口ジロー、原作・久住昌之の『孤独のグルメ』、末次由紀の『ちはやふる』、高浜寛の『蝶のみちゆき』、そして『よつばと!』と『鼻紙写楽』の7作品。現在映像化されている話題作も多い中での2作品の受賞に、根強い人気がうかがえる。

 『よつばと!』に『鼻紙写楽』と雰囲気は異なるが、多くの読者から人気を集め、確かな実力を持つ2作品が受賞した今回のマンガ大賞。20周年を向かえ、W受賞というサプライズが起きたマンガ大賞作品に触れてみてはいかがだろうか。

■『よつばと!』13巻
著:あずまきよひこ
価格:600円(+税)
発売日:2015年11月27日(金)
出版社:KADOKAWA

■『鼻紙写楽
著:一ノ関圭
価格:1,800円(+税)
発売日:2015年3月20日(日)
出版社:小学館

⇒「手塚治虫文化賞」公式サイト
⇒「手塚治虫文化賞」20周年記念サイト
⇒『よつばと!』試し読み特設サイト