GW旅行のお供にいかがですか? 観光地巡りがもっと楽しくなる樹木と野花の本

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公開日:2016/4/28


『日本人なら知っておきたい樹木と野草248 季節を知らせる花』(金田初代:文、金田洋一郎:写真/講談社)

 普段、なんとなく目にはしている。友人や彼氏と「キレイだね」なんて会話も交わすけれど、実際「あの花(樹木)は何という名前なんだろう?」と思ったことはないだろうか。そういう時に、さらっと「あの花の名前はね……」と言えたらカッコいい。更にちょっとしたうんちくも紹介できれば、博学に見られるだろう。人としての魅力は、案外、こういうところで差がでるのかもしれない。

 『日本人なら知っておきたい樹木と野草248 季節を知らせる花』(金田初代:文、金田洋一郎:写真/講談社)は、身近な樹木、野花について、客観的な情報をはじめ、花言葉や雑学、日本人との関わり方、その歴史などを、フルカラーの写真と共に紹介してくれている、初心者向けの「植物図鑑」だ。

 それでは、あなたも一度は目にしたことのある植物に関するうんちくを、いくつかご紹介しよう。

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○タンポポ
 3月~5月にかけて、黄色い花を咲かせる。道端でも見かける代表的な雑草だが、ヨーロッパではサラダ用の大葉品種が栽培されている。ところで、タンポポという名称を外国語だと思っている方もいるのではないだろうか。これはれっきとした日本語で、江戸時代から既にそう呼ばれていた。語源は鼓を打つ時の「タン・ポンポン」という音から連想して名付けられたという説が有力らしく、そのため、別名を「ツヅミグサ」という。

○レンゲ
 こちらも春に咲く野花。中国が原産で、江戸時代のはじめに渡来した。化学肥料が普及する前は、牧草や水田の緑肥として栽培されており、一面に赤紫のじゅうたんをしいたようなレンゲ畑は、日本の風物詩だったそう。昔の日本人にとって、とても身近な存在だったレンゲは、子どもたちの遊び道具でもあった。花束や花冠を作ったり、また、おひたしや和え物などの食用としても用いられていた。

○ハナミズキ

 今の季節、公園やマンションの緑地、ちょっとした中庭がある住宅でも見かけるようになった樹木。北米が原産で、英名では「フラワリング・ドッグウッド」という。これは樹皮の煎じ汁が犬の皮膚病に効くといわれたことによるものだとか。北米東部の先住民は傷薬として利用していた。「日米親善の木」としても有名である。それは大正4年のこと、東京市長であった尾崎行雄がワシントンにサクラを贈った返礼として、アメリカから持ち込まれたことによるという。

○オオイヌノフグリ
 春になると、道端や畑、空き地などに咲く紫色の小花。明治17年に東京ではじめて見つかったユーラシア・アフリカ原産の帰化植物。「イヌノフグリ」という独特な名前のため、名前を知っている方も多いはず。イヌノフグリは犬の陰嚢のこと。実の形が似ていることから名付けられた。一方で花には「星の瞳」というロマンチックな別名もあるほどだ。一日花で、朝開いて夕方までには散ってしまうのもはかなく美しい。群生地ではブルーのカーペットをしきつめたようにさえ見えるとか。ある意味「名前負け」の野花。

○バラ
「花の女王」として有名なバラは、5月~6月(10月ごろにも咲く)に花をつける。そもそも「バラ」は棘のある低木を指す総称である「茨(いばら)」が語源になっている。クレタ島の壁画に描かれていることから、紀元前には既に観賞されており、また、薬用や香料としても利用されていた。ローマ時代、バラの花を天井につるした宴会では、「会話の一切を秘密にする」という風習があったそうだ。そのため、現在でも、西洋では「バラの下で」といえば「秘密に」の意味になるとか。

 いよいよゴールデンウイーク。自然を満喫しに行く方も多いだろう。そんな時、片手にこの本があれば、自然の美しさをいっそう感じ、植物に対する造詣を深めることができるだろう。

文=雨野裾