押切もえ『永遠とは違う一日』山本周五郎賞ノミネートに祝福の声「感動と希望をくれたこの作品が評価されて嬉しい」

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/15

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 モデルとして雑誌やCM、TVなどで活躍している押切もえの著書『永遠とは違う一日』が、2016年4月21日(木)に山本周五郎賞にノミネートされたことが発表された。ファンからは「本当に素晴らしい作品だから素直に祝福できる!」「読んでパワーを貰えました! ノミネートおめでとう!!」「読んで才能ある人だと思った! さすがですね」と多くの祝福の声が上がっている。

 押切は高校在学中からファッション誌で読者モデルとして活躍し、2001年から6年間は『CanCam』、2007年から現在までは『AneCan』の専属モデルを務め、その大人っぽくどこか知的な雰囲気で多くの女性から人気を得ている。また、2007年からの2年間、NHK「英語でしゃべらナイト」ではMCを務め、一生懸命英語を学ぼうとする勉強家の姿を垣間見せたり、2013年から翌年まではテレビ東京系のランニングに関する番組「旅RUNガール」でナレーションを担当するなど、多方面で活躍を見せている。

 そんな押切の初めての著作は、2009年2月3日に発売されたエッセイ『モデル失格 -幸せになるためのアティチュード-』。モデルとしてのコンプレックスや挫折、葛藤、思わぬ事故といった、順風満帆とはいえない半生をつづった内容に「もえちゃんでもこんなに悩むんだと身近に感じた!」「“生きる姿勢”ひとつで幸せになれるって、前向きなもえちゃんのメッセージが胸にぐっときました」と多くの女性の共感を呼び、発売累計16万部を越えるヒットに。

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 そして2013年には小説家デビューとなる長編小説『浅き夢見し』を発表。構想と執筆に3年もの時間をかけて書いたという同書は、大舞台にいつか立つ夢を思い描きながら、実際は挫折ばかりを繰り返す25歳の売れないモデルを主人公にした物語。体重制限に苦しみ、オーディションでは上手く立ち回ることも出来ない、ライバルの登場に焦るなど、夢の実現には程遠い場所で苦しんでいる、葛藤を抱えながらも成功への道を模索する主人公の姿を、本物のモデルならではの視点でリアルに描いた作品となっている。

 押切は「書き方がわからず、挫折した数カ月もあった」と、初めての小説への挑戦にかなり苦戦したことを吐露したが、読んだ人からは「きらびやかなモデルの世界の裏側がこんなに大変なものだとは思わなかった! 面白くて一気に読んだ」「生々しいエピソードに圧倒されました!」「押切さんて凄い文才あるんですね! 処女作なのにすごい!!」と大絶賛の声が上がった。

 翌年には文芸雑誌『小説新潮』に、描く才能がないのではないかと悩み始めた41歳の女性画家が、前夫や思春期の娘との関係、年下の青年との恋に苦悩しながら次の創作に挑んでいくという内容の短編小説『抱擁とハンカチーフ』を掲載。編集者が「主人公の年齢は本人とかけ離れているのに、心理や悩みを具体的に描いている」と高い評価をするほどの出来で、その確かな実力を世間に見せつけている。

 そして『抱擁とハンカチーフ』をはじめ、1年にわたって『小説新潮』に連載した6本の短編が1つの物語へとつながった連作短編集『永遠とは違う一日』が2016年2月26日(金)に発売された。『抱擁とハンカチーフ』で描かれた自信を失った画家の他に、アイドル失格の高校生や腐れ縁に悩むスタイリストなどにスポットを当て、女性たちの挫折や苦悩、ささやかな希望を確かな文章力で描いており、読者からは「この本を読んでいて、足踏みばかりしてちゃだめだって背中を押された気がした」「どの話も最後は泣いちゃった…久しぶりに夢中になれた本に出会えたよ」「登場する人たちはきっと、もえちゃんの分身なんだろうね。誰にも苦しみがあって、でも前を向いて生きなきゃいけないってメッセージに自然と涙がこぼれた…」と、多くの読者に感動を与えた。

 そんな『永遠とは違う一日』が山本周五郎賞にノミネートされたのだが、他の候補者の面々がまた凄い。『告白』で知られる湊かなえの心理サスペンス『ユートピア』や、映画化もされた『百瀬、こっちを向いて。』の作者・中田永一による恋愛短編集『私は存在が空気』、また『震える牛』で知られる相場英雄の描くミステリー『ガラパゴス』や『ヨハネスブルグの天使たち』で日本SF大賞特別賞を受賞した宮内悠介のサスペンス長編『アメリカ最後の実験』がノミネートされている。現在の文学界を担う作家たちの作品の中に『永遠とは違う一日』が名を連ねたことに対し、読者は「有名な小説家の作品と肩を並べるなんて素晴らしい!」「もえちゃん快挙だね! おめでとう!」「感動と希望をくれたこの作品が評価されて嬉しいよ(泣)」「励ましをいっぱいくれたもえちゃんに是非、賞を!」と大興奮のようす。

 女性の人生における苦悩や挫折にスポットを当て、悩みながらも真正面から描いてきた押切。選考会は2016年5月16日(月)に行われるとのこと。果たして結果はどうなるか発表を待とう。

■『永遠とは違う一日
著:押切もえ
価格:1,512円(税込)
発売日:2016年2月26日(金)
出版社:新潮社