子育ての悩みがラクになる! いい子育てをするためのシンプルな極意とは?

出産・子育て

公開日:2016/5/11


『子育てが楽になる心理学:母親が「一人で抱え込まない」ための工夫とヒント』(山口まみ/三笠書房)

 隣の芝生は青く見えるものだ。子育てにしても、そうかもしれない。「よその子どもは賢い」「あの子育て法をやってみたい」…。その羨望はやがて、「自分は子育てに向いていないのではないか」と、自信喪失に繋がっていくことも。

子育てが楽になる心理学:母親が「一人で抱え込まない」ための工夫とヒント』(山口まみ/三笠書房)は、そんな母親に対して「『うちはうち、よそはよそ』でいい」と断言する。

 母親であり心理学者でもある著者は、いい子育てをするための極意を、シンプルにこう述べる。

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お母さん自身の心を「いい状態」にすること。

 本書によると、子育てに向き・不向きはない。「子育てに向いていない」と自分を責めたり、「もっと頑張ろう」と無理を強いたりするのは不必要。どうやったら自分が肉体的にも精神的にもよい状態で子育てをできるようになるか、ということが、結局はよい子育てに繋がるという。「ありのままの自分」でいい。

 子どもは、親の姿を見て育つ。親自身が自らを肯定的に見ているなら、子どもも子ども自身を肯定的に見るようになる、という理論だ。

 ところで、近年、日本人の自己肯定感の喪失が問題視されている。本書は、自己肯定感の育て方にも言及している。この方法も至ってシンプル。それは、

子どもを無条件に愛すこと。

 自分のあるがままを受け入れられた経験が多い子どもほど、自分自身に対して「根拠なく」自信を持つことができる。ちなみに、テストの成績がクラスで一番良い、足がクラスで一番速い、“だから褒めて受け入れる”といった他者と比べての「根拠ある」自信によって育った自己肯定感はもろい、という。自分より優れた人間を目の前にしたときに、築いてきた自己肯定感がガラガラと崩れ落ちる可能性をはらんでいるからだ。

 本書は、他者との「比較習慣」が多くの母親を苦しめている、と述べている。本書いわく「『優越感』を得るための比較や競争というゲームには終わりがない」。他者比較に一喜一憂するより、

子どもの粗相も「ま、いっか」。自分の欠点も「ま、いっか」。

 の精神で“期間限定”の子育てを楽しめるよう、自分を苦しめる「◯◯しなければならない」「◯◯すべき」という強迫的な考え方から抜けだし、心を「いい状態」にしてくれることを、本書は願っている。

文=ルートつつみ