『コクリコ坂』宮崎吾朗監督が語る、長澤まさみの“無愛想”な声の力
更新日:2014/2/8
「僕の場合、最初からキャラクターのイメージがある程度固まっているというよりも、その人のことが分からないから、探していく感じですね」と語る宮崎吾朗監督。「目の前に海という僕の知らない女の子がいる。彼女を知るためにどんどん探っていく。そのうちに彼女のことが分かり始めるんです」
そうして生み出したキャラクターを完成させるのは声の力だと、長澤まさみと岡田准一とのアフレコを通して、あらためて感じたそうだ。
「家事をこなして下宿を切り盛りする海は、明るい女の子ではあるけれど、だからといって元気でかわいく話すものだろうかと、ずっとその答えが見出せずにいたんです。アフレコでも長澤さんが、最初にかわいい声で演じてくれて。でもやっぱり何かが違う。そう伝えて、次に長澤さんがやってくれたのが真逆、無愛想な海でした。そのぶっきらぼうな感じが、飾らないまっすぐな海のイメージにつながった」
もうひとりの重要人物・俊の場合もそうだったという。 「岡田准一さんにしても、バンカラな俊をやんちゃに演じるのかなと思ったら、想像以上に不器用な感じになって驚きました。でも、この無愛想な女の子と不器用な男の子の組み合わせが、僕はすごく魅力的でいいなと思っているんです。自分の思ったことしか言わない感じは、何事もオブラートに包んで話そうとする今風とは明らかに違っていて、60年代を表している気もする。これこそ絵には超えられない、俳優の方たちの声の力だと思います」
監督も絶賛するふたりの俳優の演技にもぜひ注目したい。
(ダ・ヴィンチ8月号 スタジオジブリ最新作スペシャルより)