【子どもを幸せにする名前】「言葉のプロ=コピーライター」の名づけワザ

出産・子育て

公開日:2016/5/20


『コピーライターが教える 子どもを幸せにする名づけのコツ』(清水章充/学研プラス)

 子どもの名づけは難しい。なにせ、ほとんどの親は、名づけのシロウトなのだ。しかも、名前は一生モノ。素敵な名前を作るためのマニュアルや法則があれば、どれだけの親が助かるだろう。

 朗報が飛び込んできた。

 なんと、広告制作で活躍する言葉のプロであるコピーライターたちは、子どもの名づけも得意らしい、とのこと。『コピーライターが教える 子どもを幸せにする名づけのコツ』(清水章充/学研プラス)によると、子どもを持つコピーライター137名と、その子ども(小学生以上)の41名にアンケートをとったところ、「子どもにつけた名前を気に入っている」と答えたコピーライターの割合は99%、さらに「自分の名前が好き」と答えた子どもの割合は92%と、じつに高い数字がはじき出されたのだ。本書は、そんなコピーライターたちの名づけのノウハウを結集し、「素敵な名づけができる方法」を惜しげなく披露している。

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 本書によると、書店には名づけに必要な情報が載った「名づけ事典」がある。また、web上には姓名判断を簡単に行えるサイトがある。しかし、「名づけ法」はこれまでなかった。コピーライターたちが実践した名づけの手順を簡単に紹介したい。

名づけの基本的な手順
手順(1)
「なんとなくルール」をつくる
 ↓
手順(2)
「4つのコース」から自分に合ったコースを選び、名前を作る
 ↓
手順(3)
作った名前をチェックする

【手順(1)】の「なんとなくルール」は、例えば「2文字の名前がいいなあ」「爽やかな雰囲気の名前にしたいなあ」といった、ゆるい大枠のようなもの。あえて「なんとなく」のほうが、名前を考えていく中で新しい発見があるかもしれないし、パートナーと意見を合わせていくうえでも好都合のようだ。ちなみに、コピーライターが考えた「なんとなくルール」の1位は、圧倒的に「キラキラネームを避ける」。「日本人らしい名前にしたい」「古風な名前にしたい」といったルールも人気。男の子の場合は「最後を『き』にしたい」「濁音のつく字をひとつ入れる」「左右対称の漢字を入れる」、女の子の場合は「濁音を避ける」「あまり女子っぽくなく、さっぱりした名前」「親のエゴが出すぎない」といったクリエイターセンスが感じるようなルールも見られた。参考にしてほしい。

「なんとなくルール」を作ったら、次は【手順(2)】に移る。

4つのコースに分かれて名前を作る
■ 想いからコース
■ 響きからコース
■ 言葉・漢字からコース
■ 大切なモノからコース

 これらの中から、「素敵な名前が作れそう」と思ったコースを直感で選ぶ。「想いからコース」は、まず名前に込める「想い」を考えて、そこから名前を作るという手順を踏む。「響きからコース」は、名前の「響き」を決めてから、込めたい想いを確定。「言葉・漢字からコース」は、名前に使う「言葉」や「漢字」を決めてから、名前を作っていく。「大切なモノからコース」は、「生まれた日や季節の情景」「二人にとって特別な思い出」といった事柄から名前を作っていく。コピーライターだけでなく、多くの親にとっても「想いからコース」が名前作りの王道だというが、女の子の名づけには比較的「響きからコース」が多く、唯一無二の名前を作りやすいのは「大切なモノからコース」らしい。

 手順が決まったら、名前を表現する。コースに沿った言葉を、まずはたくさん考えて、後から絞るとよさそう。言葉を追い込んでいくコピーライタースタイルだ。多くのコピーライターは、コースの主題を軸にしながら、6つの表現アプローチから考えた言葉を組み合わせている。

名前を表現するための6つのアプローチ
■ 言葉・漢字
■ 自然・植物
■ 自然・植物以外のモノ
■ 人の名前にあやかる
■ 外国の言葉・人名
■ 場所にあやかる

 例えば、「快人(かいと)くん」なら「英単語のKite(外国語)」「快い(漢字)」「音楽(モノ)…『音楽のメロディーや歌のように、周りの人も快くすることができますように』との願い」を、「文彩(ふみや)くん」なら「文学(言葉)」「彩(漢字)」を、「海音(あまね)ちゃん」なら「海(自然)」「波の音(自然)」「あまねく(言葉)」を、「万智(まち)ちゃん」なら「10,000(モノ/数字)」「智恵(言葉)」「俵万智(人名)」を組み合わせている。

 そして、名前を作ったら、最後にインターネットを検索したり、周囲の人に意見を聞いたりして、「同じような名前がないか」「キラキラネームではないか」などをチェックする(【手順(3)】)。

 本書は、紹介したコピーライターの名づけ方法を参考にしつつも、親が楽しみながら満足のいく名づけをしてほしいと願っている。

文=ルートつつみ