『あの花』が支持されたのは“地に足がついた話”だったから
公開日:2011/9/5
その大きさは、社会現象を巻き起こすほどだ。なぜこれほどまでに支持され、視聴者の心を掴んだのか?
その理由を、『あの花』の長井龍雪監督に聞いた。
「第1話のオンエアの後、プロデューサーから「大反響です!」と聞いた時は、ドキドキでしたね。期待が非常に高まったというような感想をいっぱい伺って、2話以降は、意外と「ネタ話」なのにどうしよう、と思っていました(笑)。
その後も、回を重ねるごとにドキドキが増していく状態で、やっぱり最終回はプレッシャーになりましたね。“本当にこれでいいのか?”と。
結局のところ、良くも悪くも“普通の話”だった、というのが大きいのかなと思っています。幽霊というファンタジックな要素は入っているんですけど、それ以外は至極まとも。多少エキセントリックな行動をするキャラクターはいるにしても、いちおうは想像の範囲内に収まるような人たちばっかりが、ただただもがき苦しむだけの話です。
良くも悪くも地に足がついて話だった、その辺が、多くの人に共感していただけたのかなと思いますね。キャラクターと一緒に悩んだり、自分の人生を重ねたり・・・・・・を自然にしてもらえたのかなと。
本当に普通の話なので、ことあるごとに思い出すようなものでもない気もするんですよ。ただ、なんとなく、ちょっとでもキャラクターたちのことが心に引っかかってくれて、たまにちょっと彼らのことを思い出す、みたいなそんな作品になっていたとしたら、すごく嬉しいです」
●長井龍雪(ながい・たつゆき):アニメーション監督・演出家。代表作に『とらドラ!』 『とある科学の超電磁砲』など
(ダ・ヴィンチ8月号 「『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』が僕らに教えてくれたこと」より)