乳の話しかしてない? 抱腹絶倒の筋肉地獄コメディ『ゴー・トゥ・ヘルン』

マンガ

公開日:2016/5/27


『ゴー・トゥ・ヘルン』(しいたけ元帥/一迅社)

 抱腹絶倒というのは、ある意味地獄ではないだろうか。私はその経験が一度ある。中学校の友人が、地元のお祭りで金魚の踊り食いを披露したときだ。あまりの衝撃と面白さに、腹を抱えて笑った。お腹が痛くて友人の口元を見まいとしたが、面白くてついつい見てしまう。そしてまたお腹が痛くなる。笑いの地獄だった。『ゴー・トゥ・ヘルン』(しいたけ元帥/一迅社)も、そのような感じだ。

 本書は連載型新作マンガ配信サービス「GANMA!」で掲載されているWEB漫画の1つだ。漫画のジャンルは…筋肉地獄コメディだ!…少々戸惑う読者もいるだろう。地獄絵図に笑顔など描かれた試しがない。

 本書の舞台は地獄だ。「獄卒」と呼ばれる鬼たちが、地獄へ送られてきた「亡者」たちを罰するため、日々拷問しているのだ。主人公である美善清正(みよしきよまさ)も生前に悪いことをして、地獄へ送り込まれた。ところがこの男、とんでもなくムキムキなのだ。二の腕が私のウエストくらいありそうだ。いや、私のウエストが細いのか。そんなことはどうでもいい。それだけムキムキなので、拷問しにやってくる獄卒たちを、みんな「獄葬」してしまう。あまりに強いので、地獄へやってきても退屈し始める清正。そこに現れたのが、ちんちくりんで関西弁で憎めない獄卒娘、鬼瓦ヘルンだった。

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 そこから清正とヘルンと愉快な仲間たちで、次々と現れる獄卒王や閻魔大王様を倒すためのストーリーが始まる。本書の醍醐味は、地獄を舞台に繰り広げられるコメディだろう。そのギャップがたまらないのだ。ヘルンは、自身の乳の小ささばかり気にしている。愉快な仲間たちも、愉快なことばかりしでかす。まともなのは清正くらいだ。

 個人的に好きな回は、ヘルンが獄卒になるための学校へ通っていたサイドストーリーだ。同級生と3人で部活を立ち上げたのはいいが、やはり乳の話しかしていない。そしてオチも素敵だ。ヒワイなマチガイをしでかして終わる。ヘルンが私の友達になってくれたら、私は横隔膜を地獄へ投げ捨てるだろう。

 本日5月27日に、一迅社より『ゴー・トゥ・ヘルン』の第1巻がコミックスとして発売される。しいたけ元帥氏には、これからも読者を地獄へ突き落とすような抱腹絶倒のコメディを描いて頂きたい。

文=いのうえゆきひろ

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