「なんとなくウツ」が口癖の人へ。心と体、仕事、恋愛、お金、人間関係…「毎日を変えたい」女子がほしい言葉とヒントが満載

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/15


『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』(はあちゅう/KADOKAWA)

新年を迎えたばかりだと思っていたのに、気がつけばゴールデンウィークも終わってしまった。素敵な一年になるように目標を立てたものの、いまいち実行できないまま春になり、4月には新鮮な気持ちで頑張ろうと思ったはずなのに、ただ時間だけが過ぎてしまう…。知らず知らずのうちにストレスや疲れが蓄積し、決めたことをできない自分に苛立ち、毎日だるくてやる気が出ない。

程度の差はあっても、この時期、こんな気持ちを抱えている方は多いのではないだろうか。いわゆる“五月病”という状態。そんな時にぜひ手に取っていただきたいのが『とにかくウツなOLの、人生を変える1か月』(はあちゅう/KADOKAWA)だ。著者は有名ブロガーのはあちゅう氏。テレビでコメンテーターを務め、本書以外にも著書を持つなど、多方面で活躍している。

主人公は20代OLの奈緒。“女性向けのウェブサイトの編集長”という素敵な肩書きを持っているが、日々の業務に忙殺されて鬱々とした毎日を送っている。そんな時、「人生を激変させたいあなたのための場所」と書かれたチラシを見て、“メンタルジム”に足を踏み入れる。そして、心を鍛える場所であるメンタルジムで、有名モデルでありカウンセラーのヒカリとの会話を重ねていくにつれ、奈緒に変化が現れ始める。

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本書は、小説のように奈緒を中心にストーリーが進んでいく。その中で奈緒にかけられるヒカリからの言葉の数々や、奈緒の気づきは、とても具体的で分かりやすい。同じ女性として心から納得できるし、すぐに実践できそうなことばかり。本当にたくさんの要素が盛り込まれているので、今回はほんの一部をご紹介したいと思う。

毎日幸せだって思うためには何が必要だと思いますか?

カウンセリングが始まってすぐに、奈緒はこうヒカリから問いかけられるが、即答できない。なぜなら、考えたことがないから。もっと幸せになりたいと思ってジムに入ったはずなのに、不満ばかりが気になり、どうすれば幸せになれるのかを考えていなかったのだ。そこで、ヒカリに勧められて不満に感じていることを書き出してみると、数えきれないくらいあると思っていたのに、実は少ないことが分かり愕然とする。

人に押し付けられたことを無理やりやったら、結局また、その人のせいにしてしまう

「お金を払うのだから、色々なことを教えてもらえると思っていた」と話す奈緒に対して、ヒカリはこう説明する。そこで奈緒は、自分で決めてできないのは自分の責任だということ、今までも人生の主導権は自分が握っていたのに他人任せにして不満を抱いていたこと、に気づくのだ。

淡々と、その瞬間瞬間を楽しんだらいい
事実は変えられないけれど、意味付けは、自分で変えられる

これは、自分のしてしまったことを後悔する奈緒にヒカリがかけた言葉。すべてをポジティブに捉えることが難しくても、必要以上にこだわらないようにすることが大切なのだ。こう指摘され、奈緒は、自分を不幸せにしていたのが自分だったことに気づく。

ここでご紹介したのは、カウンセリングの導入部分。ヒカリに問いかけられ、時には諭され、奈緒は考え方の根本部分を変える重要性に気づいていく。自分が変われば、少しずつ人生が変わっていくと信じられるようになる。そして、気づいたことや学んだことを、すぐに実践してみると、徐々に日々の生活や仕事に変化が見え始める。今まではネガティブに捉えていたことや、無理だと思って変えようとしなかったことが、小さな一歩を踏み出して少しずつ進んでいくことで、楽しいことや、やりがいに変わっていくのだ。こうして、奈緒の鬱々としていた毎日が、輝き始める。

自分が変われば毎日が変わる。人生だって変わる。奈緒のようにアドバイスを実践していけば、日々の生活に小さな幸せをたくさん見つけられそうな気がしてきた。何かを変えたいと思っている方にオススメしたい一冊。

文=松澤友子