静かなブームを呼んでいる「ふるさと怪談」とは?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/28

 アンソロジストにして文芸評論家、そして怪談専門誌『幽』編集長である東雅夫氏が、昨年、仙台の出版社「荒蝦夷」とともに「みちのく怪談プロジェクト」を旗揚げした。  
  
 「遠野物語」百周年を機に、異界に親しい土地・東北が育んだ怪談文化遺産の紹介と新たな担い手の育成、さらには地域文化の振興を企図した長期プロジェクトだ。   
  
 これとほぼ時を同じくして、沖縄の出版社「ボーダーインク」から、小原猛氏の『琉球怪談』が出版されるなど、“ふるさと”に根ざした怪談が静かなブームを呼んでいる。  「注目すべきは、いま我々が手にしている『怪談』という器が、忘れてはならない『土地の記憶』を活き活きと伝えるための装置として、思いのほか有効に機能してきたという事実だ」と東氏はいう。東氏は「ふるさと怪談トークライブ」と銘打ったイベントを全国で展開中。今後も、地方に根ざした怪談イベントや出版企画を継続する予定だという。  
  
 全国各地に根ざした怪談や伝承は、その土地の文化を色濃く伝える保管装置といえる。「ダ・ヴィンチ」8月号では6人の作家による書き下ろしふるさと怪談実話が収録されているのでぜひご一読を。  
  
(ダ・ヴィンチ8月号 ふるさと怪談2011より)