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梨園を揺るがす恋愛スキャンダル!? 御曹司同士の恋愛を描く『花恋つらね』作者・夏目イサクインタビュー!


『花恋つらね』(夏目イサク/新書館)

 未体験者にはいまだハードルが高いと思われがちな、BLの世界。そんな世界において、BL初心者でも受け入れやすい絵柄とストーリー構成に定評があるひとりの作家がいる。夏目イサクさんだ。夏目さんはこれまでに、『飴色パラドックス』『ハートの隠れ家』『どうしようもないけれど』『いかさまメモリ』『タイトロープ』(いずれも新書館)など、多数の作品を発表してきた。

 たとえば、『飴色パラドックス』では、週刊誌編集部を舞台に、記者とカメラマンの“ケンカップル”ぶりを描いてみせた。少し天然なところがある「受(うけ)」と、一見クールなのに熱い気持ちを内に秘めた「攻(せめ)」。そんなふたりの攻防戦は、恋愛において素直になれない人たちの共感を集めた。長屋で始まる恋をテーマにした『ハートの隠れ家』は、“人と人とのつながり”が丁寧に描かれており、アットホーム感が持ち味。他人とのつながりが希薄になりつつある現代において、あらためて人のやさしさを感じることができる作品と言えるだろう。

 『どうしようもないけれど』は、上司と部下の間に芽生える恋をコミカルに描いた作品。パートナーにお見合い話が持ち上がった時にどうするのか、というリアルな問題も扱っているけれど、ラストは誰もが納得するハッピーエンドだ。

 また、BL以外のところで言うと、ひょんなことから神様の手伝いをすることになってしまった少年の成長を描く『あやかり草紙』(新書館)といった作品もある。両親を失ったという少年の生い立ちを、必要以上に重くせず、さらっと感動的に描く手腕はさすがの一言だ。

 夏目さんの作品は、しっかり作りこまれたストーリー展開が持ち味。恋に落ちる過程も丁寧に描かれるため、説得力があり、気がつけばその恋路を応援してしまっているのだ。さらに、登場するキャラクター一人ひとりがかわいらしくて、決して完全なる悪人は存在しない。人間味あふれるキャラクターたちが織り成す物語は、爽やかな読後感をもたらしてくれるだろう。だからこそ夏目さんは、大勢の読者の支持を集めているのだ。

 そしてこのたび、そんな人気作家である夏目さんの新作『花恋つらね』(新書館)が、ついに登場した。

 本作の主人公は、現役高校生にして将来を有望視されている梨園の御曹司・惣五郎。「歌舞伎界のイケメン王子」と称され、学校でもモテまくり。……にも関わらず、非常にメンタルが弱く、エゴサーチをしては落ち込む毎日だ。そんな惣五郎が、ライバル視しているのが、同じ芸能コースに通う源介。彼も歌舞伎界の御曹司で、同世代の惣五郎としてはどうしても意識せざるを得ない。

 ある時、ふたりは同じ舞台に立つことになってしまう。女形の・惣五郎と、立役の源介。初共演で夫婦役を務めることになり、惣五郎の中には「絶対に負けたくない」というライバル心がメラメラと燃える。しかし、それに反して、飄々としている源介。「ずっとお前と一緒に舞台に立ちたかった」「これを機に、おれのこと好きになってね、惣ちゃん」などと顔から火が出るようなセリフを、サラリと言ってのける。そんな源介に、少しずつ心を乱されていく惣五郎――。

 新たな代表作となりそうな作品を生み出した夏目さん。そこで今回は、ご本人にインタビューを敢行し、本作について伺ってみた!

――『花恋つらね』で歌舞伎の世界をテーマにしたきっかけを教えてください。

夏目イサク(以下、夏目)「担当編集さんと次の作品について打合せをしている時に、『次は何かを目指している子を主役にするのはどうかな』という話になったんです。そこでいくつか出た案の中から、『歌舞伎役者って華やかで派手でかっこよくていいね!』という軽いノリで決めたんですが……、とても複雑な世界なのでだいぶ早まったかなと思っています(笑)」

 確かに馴染みのない者からすると、梨園の世界は非常に複雑な印象だ。けれど、同い年の役者に対して嫉妬したり、名門の跡取りという重圧に悩んだりする姿は、歌舞伎の知識がなくとも想像に難くない。これはある種、どんな世界でも起き得ること。難しい世界を舞台にしてはいるものの、そこで描かれているのは、夢を目指す高校生の等身大の姿なのだ。

――作品化にあたり、実際の役者さんにも取材されましたか?

夏目「直接関係者の方にお話を聞く機会はまだないんですが、実際の劇場や関係施設、書物・動画などでできる限り情報を集めています。とはいえ、歌舞伎描写はド素人なので、やんわり見ていただけると助かります……」

 初めての世界を描くにあたって、夏目さんも相当苦労されているよう。けれど、あえて専門的になりすぎないように気を配って描かれているため、歌舞伎の知識がなくとも読みやすく、その世界観に入り込みやすい。そしてもちろん、物語のメインとなるのは惣五郎と源介の恋愛だ。

――『花恋つらね』で大切にされていることや、今後の展開における注目点を教えてください。

夏目「私は、男の子2人がくっつくまでのモダモダがあった方がくっついた後が楽しいので、今回はそこをちゃんと描こうと思ったんです。そうしたら、あっという間に1巻分になってしまって、ちょっと焦りました(笑)」

 若干ツンデレ感のある惣五郎と、てらいなく愛情を表現する源介。梨園を背負うふたりの御曹司は、どのように恋に落ちていくのか。今後が楽しみでならない。

――今後の見どころについて教えてください。

夏目「まったく恋愛感情のなかった主人公が、どのように相手にハマっていくのかに注目してもらえたらうれしいです。今回はちょっと特殊な業界のお話ですが、歌舞伎のこともわかりやすく楽しく表現できるようにがんばりますので、よろしくお願いします!」

 大勢のBLファンを魅了する、夏目さんの作品。今回の待望の新作も、悶絶する人が続出する予感だ。梨園を揺るがす恋愛スキャンダル(?)の行方、ぜひ追いかけてみてほしい!

文=五十嵐 大



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