大事なことは急に決める! 惑いながらも潔く、マイペースに頑張る40歳女性の日常

コミックエッセイ

公開日:2016/6/18


『40歳になったことだし』(森下えみこ/幻冬舎)

 30歳の誕生日は、女性にとって大きな節目。「結婚するなら30まで」「未経験の仕事に転職するなら30代より20代が有利」など、仕事でもプライベートでも何かと引き合いに出され、なんとも言えない焦りや不安を感じたものだ。30代に怯えていた頃は、40代なんて想像もできなかった。30代半ばになると、自分がアラフォーと呼ばれる年齢であることに愕然としたこともあった。しかし気づけば40代。そんな女性は多いのではないだろうか。

40歳になったことだし』(森下えみこ/幻冬舎)の著者も、そんな女性のひとり。同窓会のお知らせを機に、40歳目前であることを思い出し、あっという間に40代に突入していく。本書は、そんな森下えみこ氏の日常が描かれたコミックエッセイだ。

ぬるっと40代に突入

 仕事に追われている間に、気づけば“ぬるっと”40代に突入していた森下氏。20代や30代後半に感じた不安や焦りが嘘のように、ほぼ無抵抗の自分に気づく。昔と比べれば、疲れが取れにくい、ほうれい線が気になるなど、小さな変化はあるが、何かが大きく変わることはない。ただ、久しぶりの知人に会った時など、まだ独身であるために気を使わせてしまうのは、少し心苦しく感じるのだった。

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40代の決断

 40代になると、思い切りも良くなる。これまで悩んであきらめていたことを、その場で決断することだってあるのだ。ずっと東京に憧れていた森下氏の決断は、東京への転居。しかも、計画的ではない。仕事でたまたま上京した日に、時間が空いたので物件を見ることになり、なんとその場で申し込み、あっという間に引っ越しが決まる。申し込んだ後、冷静に考えて不安になったりもするのだが、そこでひるまないのが40代の潔さなのだ。

 人生が劇的に変わることはないけれど、20代や30代で悩み努力してきたことが実を結び始める40代。苦手なことは苦手なままだし、生き方を変えることもできないけれど、そんな自分を受け入れて前に進む40代。想像していたほど大人ではないけれど、過去を振り返れば、結構頑張ってきたじゃないかと思えてくる。

 東京に引っ越した理由を聞かれるたびに、自分の決断に自信を持てずにいた森下氏は、ある日、自身の口から出た言葉に勇気づけられる。

「なんかいろいろがんばりたくて」

 本書には、森下氏の微笑ましいエピソードがちりばめられ、アラフォー女性なら共感できる内容ばかり。無理し過ぎなくていいし、人と同じでなくてもいい。適度に肩の力を抜いて、毎日を楽しみながら、自分らしく頑張っていけばいい。そんな気持ちになれる一冊だ。

文=松澤友子