宮崎あおいに「原作イメージ通り」とファン歓喜

映画

更新日:2014/2/8

 命とは?――。 生きることの意味をおだやかに照らす“救い”の物語『神様のカルテ』の映画版が、8月27日(土)から全国公開される。
  
 原作は、長野県在住の現役医師・夏川草介が書いた同名小説。2010年度の本屋大賞で第2位となった話題作だ。
  
 主人公の栗原一止(くりはらいちと)は、信州にある本庄病院で働く青年内科医。 「24時間、365日対応」の同院で昼夜を問わず忙しく働き、地域医療の問題に取り組んでいる。その成長を通じて、人と人が向き合い、触れ合い、心を寄せ合うことの尊さが描かれるストーリーやキャラクターは、映画版もほぼ原作に忠実だ。
  
 映画では、嵐の櫻井翔が一止を演じる。漱石オタクの変人。しかし、患者のためには身を削って働く。そんな一止のキャラクターを飄々と、だが熱く演じ切り、これまでにない等身大の「働く男」の顔を見せている。
  
 一止の妻で山岳写真家の榛名役には、宮崎あおい。このキャスティングを聞いて「原作のイメージ通り!」と歓喜した男性ファンも多いとか。少女の可憐さと聖母の慈愛をあわせもち、夫の悲しみにそっと心を添わせる一途なヒロイン像は、まさに彼女のハマリ役だろう。
  
 一人の青年医師と仲間たちの心やさしい物語の舞台となった、美しい松本の街並みも、もうひとりの主役といえる。
  
 病院の屋上から見える雄大な北アルプスの山々、美ヶ原高原の思い出の丘、巨木に囲まれた古い神社。 そして、夫婦と個性的な住民が暮らす古アパート「御嶽荘」――。
  
   年中、修羅場の病院風景とは対照的に、緑溢れる松本の風景からはのどかなノスタルジーが立ち上る。原作でも描かれたその風光明媚な魅力も、ぜひ劇場で堪能したい。
  
(ダ・ヴィンチ9月号 松本 わたしをとりもどす街より)