「鳥人間コンテスト」題材の青春小説『トリガール!』実写映画化決定に「面白くならないわけない」との声

映画

公開日:2016/6/23

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 青春恋愛小説の名手・中村航の『トリガール!』が実写映画化されることがわかった。中村作品としては『100回泣くこと』『デビクロくんの恋と魔法』以来の三作目となる映画化で、ファンは「待ってました!」「原作者が6年かけて完成させた渾身の作品、面白くならないわけがない」と喜びの声をあげている。

 『トリガール!』は、年に一度琵琶湖で開催される自作人力飛行機による飛行距離および飛行時間を競う大会「鳥人間コンテスト」を題材に書かれており、工業大学に通う女子大生・鳥山ゆきなが主人公。人力飛行機サークルに入部したゆきなは周りの個性豊かな部員と共に、悩み、衝突しながら成長していく。

 執筆者の中村は芝浦工業大学出身なのだが、同大学と言えば「鳥人間コンテスト」出場校の中でも名門。作中でも登場する二人乗り人力飛行機は芝浦工業大学唯一のものであり、視聴者に鮮烈な印象を残している。その証拠に2006年に「鳥人間コンテスト」30回大会を記念して、ホームページ上でファン投票を実地し「あなたが選ぶ!鳥人間コンテスト 名機ベスト10」を決めた際には、2002年の第26回大会で5位になった芝浦工業大学の二人乗り人力プロペラ機が4位にランクイン。しかも、その他にランクインしたものはほとんどが優勝などかなりの好成績を残したものばかりで、いかに芝浦工業大学の機体が印象的だったかわかる。

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 しかし、そもそも二人乗りという異例なものにも関わらず入賞レベルの成績を残せているところも注目点。「鳥人間コンテスト」では「ダイダロス型」と呼ばれる一般的なものをアレンジした機体で出場するのが主流で、好記録を残すのもほとんどがそれだ。まれに尾翼の無い「無尾翼機」、プロペラが最後尾にある「ケツペラ機」、左右の羽にプロペラが2つ付いている「双発機」なども登場するが記録は芳しくない。だが、それらと同じように“個性派”としてカテゴライズされる芝浦工業大学の「二人乗り機」は、2008年に3,044mを記録し大会で準優勝、13年にも885mで3位になっている。

 そんな輝かしい成績と唯一無二の機体を作り出す熱い姿勢をもった芝浦工業大学を、中村が6年間もの期間にわたり取材して、書きあげたものこそ『トリガール!』だ。発刊当時中村は「キャリアの中では、最熱血小説になりました」と語っており、その熱量は相当なもの。読者もまた「青春を満喫しました」「本当に面白かった。あっと言う間に読了」「ゆきなの努力に胸が熱くなりました」「チームの裏方の努力なども知れて、描写が細かくて凄い」「青春も恋愛も友情もキラキラしててすごくいい。信頼とか絆とか、純度100%なのが最高!」と中村の想いを文字から感じ取っているようだ。

 また、「映像化を希望」「ドラマとかにもなりそうな作品」「実写化したら最高の青春作品になると思う」と映像化への期待は以前からあがっており、まさに今回は満を持しての実写映画化となるわけだ。しかも撮影は芝浦工業大学の全面協力で行われるということで、中村の思い描いた映像が再現されることは間違いない。

 気になる製作スタッフだが、監督はこれまでに「ハンサム★スーツ」「高校デビュー」「ヒロイン失格」などを手がけた、軽快なコメディを得意とする英勉。熱い青春物語の中にユーモアも散りばめられている『トリガール!』と相性はバッチリだろう。

 公開予定は2017年、「鳥人間コンテスト」の第40回大会が開催される年だ。映画と大会の連動した企画も用意されているとのことで、2017年は「鳥人間コンテスト」が大注目を浴びる年になりそうだ!

■映画「トリガール!」
公開日:2017年
原作:中村航
監督:英勉

■『トリガール!
著:中村航
価格:562円(税込)
発売日:2014年6月20日
出版社:KADOKAWA