夏バテ前に体力回復! 身近な食材でカンタン薬膳料理【作ってみた】

食・料理

公開日:2016/7/1

『台所漢方 食材&薬膳手帳』(根本幸夫/池田書店)

 ちゃんと寝たはずなのに疲れがとれない、夏になるといつも夏バテしてしまう、というような、体力不足。原因が明確でないこういった症状は、西洋医学では治すことが難しい。このような症状に効果的なのは、東洋医学の知恵。しかし、「漢方」「薬膳料理」と聞くと、どうしても「難しい」「美味しくない」というイメージを持つ人が少なくない。

 そこでオススメしたいのが、『台所漢方 食材&薬膳手帳』(根本幸夫/池田書店)。本書は、手に入れやすい身近な食材で、お手頃価格で作れる薬膳料理が紹介されているレシピ本。食材の持つ力を知ることで、体調を崩しかけている、いわゆる「未病」状態の時に体を調整することができる。暑くなり、普通に生活しているだけで体力を奪われていくこの季節、「食」の力を借りられるかどうかは大きな差となる。そこで、本書の薬膳料理を実際にいくつか作ってみた。

「ユリ根とリュウガンのホットデザート」(P.146)


 まずは、多くの人が悩まされている「不眠症」に効果があるという、「ユリ根とリュウガンのホットデザート」。睡眠は体力回復には必須なので、夏バテ回避のためにも睡眠はしっかりととっておきたい。

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 作り方は、ユリ根とリュウガン(乾燥)を煮込み、柔らかくなったら赤ワインを入れてひと煮たちさせ、最後にハチミツを加えれば完成。ほくほくしたユリ根の食感と、ライチのようなリュウガンのフルーティーさが赤ワインによく合っていて、赤ワイン風味のぜんざいを食べているような感覚。リュウガンは普通のスーパーではあまり見かけないが、中華食材の店に行けば比較的安価で手に入る。

「鶏肉とニンニクのみぞれ煮」(P.157)


 続いて、風邪に効果的だという「鶏肉とニンニクのみぞれ煮」。鶏もも肉、白菜、生姜、にんにく、水を鍋に入れて中火で煮込み、火が通ったら醤油、塩で味付けする。最後に溶き卵を入れてひと煮たちさせ、大根おろしを加えれば出来上がり。

 味付けは至ってシンプルだが、野菜や肉の旨みや生姜、にんにくという薬味のおかげでバランスの良いしっかりとした味に仕上がっていた。風邪をひいてしまうのは、体力が落ちている証拠。ひどくならないうちに、体力を養う食材が豊富に含まれているこの鍋で治してしまおう。

「ショウガと根菜のけんちんうどん」(P.163)


 最後は、胃痛や胃もたれに効果的な「ショウガと根菜のけんちんうどん」。にんじん、大根、里芋、生姜、鶏もも肉、水を鍋に入れて煮込み、火が通ったらうどん、豆腐を加えて醤油と塩で味付けし、最後にニラを加える。

 消化もよく、胃腸機能を改善させる食材を集めたこのうどんは、日々の生活でストレスを抱える人や、胃が弱っている人にぴったり。疲れすぎてしまうと、どうしても食欲が落ちる。そんなあまり食欲がない時にこそ、少しでも食べてみてほしいうどん。食材から出た優しい味に、きっと癒されるはず。

 この『台所漢方 食材&薬膳手帳』には、レシピのほか、食材1つ1つの効能や解説も分かりやすく掲載されており、この本を見ながら自分の体調に合ったオリジナルメニューを考えることもできる。病気になった時に薬を飲むのも大事だが、「少し体調が悪い」という未病の段階で、食で体を整えることができればそれが一番だ。「今年こそは元気に夏を過ごしたい!」「疲れた体を回復させたい!」という人は、ぜひとも本書からヒントを探してみてほしい。

文=月乃雫