本当は3巻で終わるはずだった『3月のライオン』。その結末は?

マンガ

公開日:2011/9/5

 マンガ大賞2011と講談社漫画賞(一般部門)のダブル受賞に輝いた、今最も旬なマンガ『3月のライオン』(白泉社)。
  
 第6巻が7月に発売になったばかり本作品は、実は3巻で終わる予定だったことを、作者の羽海野チカさんが、雑誌『ダ・ヴィンチ』9月号のおかざき真里さんとの対談の中で明かしている。
  
「ホントは、『ライオン』って3巻で終わるはずだったんですよ。将棋という難しいものを題材にして、一生懸命取材をして、一生懸命描いて。マンガ家としてみんなに信用してもらってから、“3作目の長編で頑張る!”っていう、前置きにしようと思ったのが『ライオン』なんです。手堅いバントのつもりだったんです(笑)。そうやって描き始めたんですけど、だんだん欲が出てきて。監督はバントって言ってるんだけど、これでピッチャーの頭を越せないだろうか? エイ! みたいな(笑)」(羽海野さん)
  
 これには、同マンガのファンであるおかざき真里さんも驚きを隠せない様子。「私は『3月のライオン』を、零ちゃんが家族を得るまでの話だと思って読んでるんです」と語るおかざきさんに対して、羽海野さんはこう返す。
  
 「たぶん、家族を得るために必要な最後の一歩が、自分を肯定する力だと思うんですね。『3月のライオン』は、零くんが自己肯定できるまでの話なんですよ。その自己肯定ができた時に、零くんがどんな表情をしているかは、私の人生にかかってる(笑)。私自身が実感を持って自己肯定できていないと、零くんも実感を持って自己肯定はできない。本心じゃなくて、強がりになっちゃうというか。だから、私が幸せにならないと、登場人物の誰も幸せになれないんですよ」
  
 作品の行く末が気になってしかたのないおかざきさんは、「人質を取られてるみたい(笑)。羽海野さん、今すぐ幸せになって!」とリクエスト!
  
 作者自身の人生観が投影された『3月のライオン』。これからも目が離せない。
  
(ダ・ヴィンチ9月号 「羽海野チカ 精一杯の真実」より)