書店POP、あるなしで本の売れ行きは違う?

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/28

 「やはりPOPがあるのとないのでは、売れ行きは違うものなのでしょうか?」
  
 書店で見かける、いろんなPOP。その言葉に惹かれて思わず買ってしまったことがあるひとも多いはず。そこで、POPについて、本好きのカリスマ書店員、丸善・丸の内本店の文芸書担当「タカトーさん」こと高頭佐和子さんに聞きました。
  
 「『白い犬とワルツを』(テリー・ケイ/新潮社)という作品をご存知ですか? 10年ほど前、ある書店でつけられていた「何度読んでも肌が粟立ちます」という手書きのPOPに新潮社の営業部員が注目し、全国の書店に配布したところベストセラーになりました。これはもう伝説のPOPと言ってもよい存在です」
  
 最近の例で、タカトーさんが「うまいなあ」と思ったのは『蟹工船』(小林多喜二)とのこと。
  
 「昭和初期のプロレタリア文学ですが、その内容が現代のワーキングプアと似ている点に注目したある書店員が「この現状、もしや……『蟹工船』じゃないか?」というPOPを書いたところ、評判になり全国的に売れました。書き手の実感がお客さまの共感を呼び、本の魅力を再発見させる……。まさに理想のPOPです」
  
 この夏、POPを道先案内人にして、新しい本の世界に旅してみよう。
  
(ダ・ヴィンチ9月号 本屋さんの時間より)