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現役店長が地獄のようなコンビニの知られざる内幕を日記形式で赤裸々に綴る!

 コンビニの業務内容は多岐にわたる。

 レジを打つ(ポイントカードの有無、袋はいるか、箸をつけるか、弁当を温めるか、熱いものと冷たいものは袋を分けるかなども聞く)、1店舗あたり2000~3000種類あるといわれる商品の品出しをする(しかも商品サイクルが早く、中身はガンガン入れ替わる)、電気やガスの料金、税金など様々な支払いを代行する、宅配便の荷物を受け付ける、コンサート等のチケットを発券する、揚げ物を揚げて補充する、あんまんや肉まんなどを蒸す、おでんのセットをする、コーヒーメーカーにコーヒー豆や水、ミルクを補充して洗浄もする、カップ麺用の湯を沸かす、コピー機やATMなどの使い方を教える、FAXを送ったり プリンタのサービスに対応したりする、新商品について質問されたら答える、くじ引きがあればくじを引かせる、業者から納品された商品をバックヤードへしまう、店を掃除する、トイレが詰まったら直す、ゴミ箱のゴミを定期的に処理する、外で騒いでいる客がうるさいとクレームがあれば注意する、万引きに目を光らせる、最悪の場合は強盗と対峙する……ちょっと考えただけでも目が回りそうだ。

 とあるコンビニチェーンのフランチャイズ店店長による『コンビニ店長の残酷日記』(三宮貞雄/小学館)は、著者が日記を書くことが習慣であったことから、1月1日から12月31日までの日記という形を取り、コンビニが抱える様々な問題や利用者が知らない事実が赤裸々に書かれている。業務内容については上記の通り想像できたが、店長としての様々な責任や重圧、自分の店なのにままならない不自由さを抱えている状況は想像を超えるものだった。本書を読むと、いつも行っているコンビニに対する見方がガラッと変わるはずだ。

 本書の著者である三宮氏は大学を卒業後メーカーに就職したが、憧れであった一国一城の主となるべく早期退職をしてコンビニの店長となった人だ。憧れが叶ったからなのか、三宮氏にはある種の諦観がある。理不尽とか不自然だなと思いながらも、粛々と仕事をこなす。その姿には現代社会で欠かせない存在となったコンビニを最前線で支えているのは自分だ、という矜持と使命感を感じた。しかし三宮さんの友人の税理士が会計書類を見て言った「かなり日商を上げても本部が吸い上げ、店には利益が残らないようになってるんだよ」という言葉には、いささか背筋が寒くなった……。

 すべてのコンビニが365日、24時間無休である必要はないと個人的に思っていたが、深夜に商品の配送があることや、近くの店舗との競争(同じコンビニチェーン同士による売上競争も!)があることなど、いろいろな問題がからみ合っていてそう簡単にはいかないことがわかった。しかしわかったからこそ、なんだか釈然としない気持ちでいっぱいになってしまった。

 しかも今でさえやることが多くて大変だというのに、あの「マイナンバー」を使って役所の書類を交付するという、なんともナーバスなサービスもコンビニで始まる予定だという。もしカードを店に忘れたという客がいたら、そのナンバーを写した画像をSNSなどに載せてしまったアルバイト店員がいたら、間違えてカードを紛失してしまったら……近い将来に起こりうるであろうトラブルについて考えると、増えるばかりの店長の心労は計りしれない。

 コンビニが日々の暮らし、さらには日常だけでなく緊急時や災害時にも機能することが求められるなど「社会のインフラ」として欠かせない存在となっている現在、コンビニを取り巻く様々な(そして少々奇妙で、にわかには理解し難い)問題があることは本書を読むとよくわかるだろう。実際に何かが起こってからでは遅い。あとがきで「少しでもこの状況が改善されることを切に願っている」と書いた三宮氏の痛切な思いが通じることを願うばかりだ。

文=成田全(ナリタタモツ)



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