30歳以降誰とも付き合わず恋愛の「基準値」がない人が急増!? 生涯未婚率の上昇が止まらない!

恋愛・結婚

公開日:2016/7/12

 「2035年の生涯未婚率は男性29.0%、女性19.2」と平成27年版厚生労働白書では予測している。逆算すれば、今のアラサー男性の約3割、女性の約2割が一生に一度も結婚しない、ということになる。もはや生涯独身は少数派ではなく、普通の男女に普通にありえることらしい。

 婚活が少し前よりオープンに語られ、婚活することに抵抗がなくなりつつある時代だと思うのだが、未婚率が上がっているのはなぜだろう。結婚が全てではないが、結婚しなかったらその先はどうなるのだろう。

未婚当然時代 シングルたちの”絆”のゆくえ』(にらさわあきこ/ポプラ社)では、未婚者が増えた背景、現在の婚活事情、新しい“人のつながり”を丁寧な取材とデータをもとにひもといて いる。

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 まず驚きなのは、実は結婚相談所利用者の男女構成比は明らかに女性が多いという事実。「男性2に対して、女性が8」「いや、“まともな男性”1に対して、女性9の割合じゃない?」という現役相談員の声も。だからよい条件の男性には申し込みが集中するのだが、問題はそれだけではない。本書には、女性からの申し込みが1年で128件あったのに決められない36歳医師のインタビューが載っている。なぜ決められないのか、結婚相手に求めるもの、“探しもの”がなんなのか、自分でもよくわからないままに、「探す範囲を増やす資格や機会」だけがどんどん与えられていっている現状を本書は指摘する。

 その一方でごく普通のネット婚活をしている36歳女性は「35歳までで検索をかけられるようで誰からもメッセージが来ない」という。しかしこの彼女、その後ネット婚活で夫向きの人と知り合ったが、今度は相手を好きになれず気持ちが乗らないのだそうだ。

 インタビューは50歳未婚のオトコたちにも及ぶ。彼らに共通するのは、35歳以下の若い女性を好むということ。その理由に、彼らの恋愛経験が乏しく30歳前後以降誰とも付き合っていない人が多いため、自分にちょうどいい相手がわからない、恋愛の「基準値」がないことがあげられている。

 本書では、結婚以外の今の時代ならではの新しい絆についても触れている。

 人を頼り頼られる関係こそが“絆”ならば、絆はこれまでは夫婦を核として作られる“家族”が基盤となっていた。本書は、結婚に拠らない“新しい絆”づくりとして、シェアハウス、ゲストハウス、ビジネス会などを媒介とするつながりを取材している 。そこには、利害のない関係なんて存在しないというシビアな意見があったり、見返りを求めたい気持ちが表れたりするものの、時間や場の共有、その積み重ねによって、絆が生まれる可能性が示唆されている。「どういう方向で“絆”をつくるか、どこに時間やエネルギーを注ぐかは、いまや数え切れないほどの候補があり、求める気持ちさえあれば、たどり着くためのツールはそろっている。」と著者は言う。

「結婚するためにどうすればいいか」だけを考える時代はもう終わり、今はもっとその奥にある、「関係づくりの課題」や、「(旧来の)家族制度」をあらためて考え直す時が来ていると思ったのだ。

 本書は、未婚でも既婚でも、結婚や絆について考えるのによい一冊だ。特に婚活中だったり、婚活を始めようとしていたりする人には、婚活方法を含め参考になるだろう。

文=高橋輝実