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あなたは「字ギレイ顔」?女性の品格の差は「字」で現れる!書道をやるメリットとは?

『字を書く女 中年書道再入門』(芸術新聞社)

 パソコンやスマホを使う現代社会、手を使って文字を書く機会は激減するばかりである。ましてや硯を使って墨をすり、筆を持ったのはいつだったか。記憶にすらない人も多いはずだ。そんな時代だからこそ、あえて書に挑戦したのがエッセイストの酒井順子さん。2年にわたって書道のお稽古を体験した様子を、書道雑誌『墨』に連載。これをまとめたものが、『字を書く女 中年書道再入門』(芸術新聞社)である。

 小学生時代に習字を習い、30代に仮名書道教室に通った経験のある酒井さん。10年ぶりに筆をとるため、まずは大東文化大学で書道学を教える河内君平先生とともに、書道に使う硯選びからスタート。人生初臨書の「公」を書くことから始め、行書、草書から写経まで、一つひとつの書に挑戦していった。

 例えば、書き初めとなった写経。なぞるだけとはいえ般若心経には画数が多い漢字が続くため、3行ほど書いただけで「不」の文字は箸休めならぬ筆休めに感じるほど手が痛くなるという。それでもひたすら書き続けていくと、「無意識界無無明亦無無明尽・・」と書かれた無の行列を前にしても「きたー、むーむー地帯」と楽しみながら書けるようになる。どんな書を前にしても、酒井節は健在だ。

 また平安時代の書家である藤原行成の書を前にした時は、「実線と虚線がまじり、微妙なゆらぎやうねりが見えるところに、色気が生まれる」からこそ、行成の書を見て生まれながらの色気を持っているモテ系の書だと独自に分析する。

 そしていよいよお稽古の最後は、仮名交じり書。平塚らいてう、林芙美子、壺井栄の3人の女性作家の筆跡をイメージしながら、自書タイトルでもある「負け犬の遠吠え」を書き上げた。この時の思いを「白と黒だけで表現する、書の世界。それは縛りがきつそうに見えて、決してそうではないのでした。相手は、紙一枚。こちらが持つのは、筆一本。傍らには頼るべきお手本も無いという事態は、まるで大海原を一人で漂っているような心細さです」と酒井さんは振り返る。

 ちなみに書とエッセイを書く仕事との共通点は、自分の中にあるものを「出したい」というところからきているという。白い紙の上に何か黒色で書くという行為は、どの筆記具でアウトプットするかの違いであるとしながらも、書くことを生業とする人でさえツールが変われば苦戦する。やはり書は、中途半端な気持ちでは向き合えないことが伝わってくる。

 このほかにも本書には、文字に関するエッセイも多数掲載されている。例えば「字ギレイ」の章では、「私は字がきれいな人が好きなのです」と断言する酒井さん。特に女性には「字ギレイ顔」があり、美しい字を書く女性は上品でしゅっとした顔立ち。それこそ女優の檀ふみさんのように、容貌面もきれいなのではないかと妄想するという。確かに、手書きの文字には、大人の品格の差がはっきりと表れている気がするから不思議だ。

 美女はもちろん美魔女を目指すにはあまりにもハードルが高いと感じる中年女性たちこそ、まずは本書で手書きの美文字を目指すのも悪くない。

文=富田チヤコ



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