ドラマチックな台詞をつなぐ・流行から半歩ずらす…WEB小説ヒットの方程式とは

文芸・カルチャー

更新日:2017/11/14

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 日本最大級の小説投稿サイト「小説家になろう」初の書籍監修『読者の心をつかむ WEB小説ヒットの方程式』が2016年7月27日(水)に発売された。

 同書は「小説家になろう」のサイトをはじめ、様々なフィールドで活躍する小説家10名のインタビューを中心に、ヒットするWEB小説の秘訣等をまとめたもの。小説家を目指す人にとっての指針となるだけでなく、小説ファン、また同書で取り上げている小説家のファンにとっては、作家の肉声に触れられる貴重な内容となっている。

 現在、最前線で執筆活動を行う小説家それぞれがインタビューを通して語るのは、「読者の心をつかむヒット小説」の方程式。 『君の膵臓をたべたい』が「本屋大賞2016」で第2位に輝いた住野よるは、その方程式のひとつの要素として、「ドラマチックな“台詞”をつないで、物語をつむいでいく」ことを挙げている。『君の膵臓をたべたい』は、「小説家になろう」で公開された後、順調に読者の心を掴み、出版後は55万部を超えるベストセラーとなった。

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 また、現在コミカライズ化もされている『異世界居酒屋「のぶ」』を執筆した蝉川夏哉は、「流行から半歩ずらす」ことで読者の要求に応えつつも、新たな小説界の流れを作っていきたいとの意欲を表明している。

このほか、Aska氏、小択出新都氏、シムCM氏、はなぶさ氏、坂東太郎氏、日向夏氏、マツ(木へんに「八」、「口」)本保羽氏、もり氏、計10名の小説家たちへのロング・インタビューを通し、それぞれの「ヒット小説」の方程式や小説にかける思いが語られている。

『読者の心をつかむ WEB小説ヒットの方程式』で掲げられたテーマは、近年注目を集めている小説投稿サイトがもつメリットを活かし、小説家デビューを目指そうというもの。そのテーマに基づいて導き出される方程式が、「ヒット小説」=「ウケるアイデア×毎日読みたくなるストーリー×アクセスしたくなる仕掛け」。

 小説家がヒットの秘訣を語るナマの声だけでなく、同書でさらに取り上げたのは、どうすれば小説家になれるか、小説を巡る現状、小説投稿サイトが果たす役割など。執筆した小説を誰でも発表でき、読み手はそれを手軽に楽しめる、新しいコミュニケーションのスタイルとなった小説投稿サイト「小説家になろう」の特色が、それを活かした執筆の方法とともに、わかりやすくまとめられている。また、読み物として現代における小説や小説家のあり方を理解できる一冊ともいえる。

■『読者の心をつかむ WEB小説ヒットの方程式
著:田島隆雄
監修:ヒナプロジェクト・博報堂DYデジタル
価格:1,500円(+税)
発売日:2016年7月27日(水)
発売:幻冬舎
発行:幻冬舎メディアコンサルティング

田島隆雄
1975年、東京都生まれ。20代の頃に小説新人賞佳作を受賞。エンタメ雑誌編集長などを経て、現在はフリーライター。共著書は『信長の野望 天道 武将 FILE』『三国志12 武将FILE』『NEW MEDIA CREATION-次世代クリエイターのための新メディア「画ニメ」』『ドライブで旅するもうひとつのオーストラリア』『史上最強カラー図解 臨床心理学のすべてがわかる本』など。

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