日本初のオリンピックメダリストは? トイレをしていたのに優勝? 珠玉のスポーツ伝説!

スポーツ

公開日:2016/8/5

『爆笑!感動!スポーツ伝説超百科』

 2016年8月5日にリオデジャネイロオリンピックが開幕する。4年前のロンドン大会では様々な激闘があった。今回はどんなドラマが待っているのか。開幕まで60日を切り、私はすでにワクワクしている。

 『爆笑!感動!スポーツ伝説超百科』(オグマナオト、スポーツ伝説研究会:編/ポプラ社)には、スポーツファンをワクワクさせた伝説の物語140話がつまっている。その中には、もちろんオリンピックで生まれた物語も収録されている。オリンピックが待ちきれない人やオリンピック前にうんちくを仕込んでおきたい人のためにも、ちょっとコアなお話をいくつか紹介しよう。

日本初のオリンピックメダリストはスーパーサラリーマン

 日本人初のオリンピックメダリストが誕生したのは1920年、アントワープ大会でのこと。テニス男子シングルスとダブルスで熊谷一弥選手が銀メダルを獲得した。熊谷選手は慶應義塾大学のテニス部出身。大学卒業後は三菱合資会社に就職。ニューヨーク支店で勤務しながら、アメリカの大会に出場して腕を磨いていたというのだ。全米選手権では、日本人初のベスト4に進出。公務員ランナーの川内優輝選手もびっくりのスーパーサラリーマンがかつて存在したのだった。

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メダルとノーベル賞、両方を手に入れた男

 オリンピックでメダルを獲得し、ノーベル賞も受賞する。そんな超人がかつて存在した。イギリス人のフィリップ・ノエル=ベーカーさんだ。彼は1920年のアントワープ大会で陸上競技の1500メートルに出場。見事、銀メダルを獲得。その後、なんと国会議員になり、精力的に活動。反戦、平和運動が評価され、1959年にノーベル平和賞を受賞。文武両道をきわめた男だった。

車いすテニスの英雄 国枝慎吾

 テニスの4大大会最多優勝を誇る元世界王者、ロジャー・フェデラー選手。彼が「日本人が世界で勝つためには?」と質問された際、こんなコメントを残している。「何を言っている? 日本にはクニエダがいるじゃないか!」。世界王者も認めた才能の持ち主、それが車いすテニスの国枝慎吾選手だ。パラリンピックで3つの金メダル、5度の年間グランドスラム達成、40回もの4大大会優勝など、車いすテニス界の伝説だ。その強さの秘密はメンタルトレーニング。毎晩鏡の前で「俺は最強だ!」と叫んでいるとか。国枝選手の伝説は、まだまだ続きそうだ。

 本書にはタイトルの通り、感動的な話もたくさん収録されている。その中でも「明日からも頑張っていこう」となるような話を最後に紹介したい。

左手だけで立ちむかう!不屈のメジャーリーガー

 生まれつき右手の手首より先がないハンディキャップにも負けず、メジャーリーガーまで登りつめた選手がいる。ジム・アボット選手だ。左手で投げた後、右手首の上に乗せていたグラブを素早くはめる「アボット・スイッチ」という投げ方を父親とともに開発。周囲のいじめにも屈しなかった。ニューヨークヤンキース時代の1933年にはノーヒットノーランまで達成。引退するとき、新聞広告を自費で買い取り、「僕の野球人生は偉大ではなかったけれど素晴らしい毎日だった」とファンにメッセージを送った。

 この他にも「飛距離60センチでホームラン」「トイレをしていたのに優勝したランナー」など、にわかには信じられないスポーツ伝説が紹介されている。オリンピックが始まれば、気持ちは誰もがスポーツマンになる。世界中の熱気にまじって選手を応援するためにも、本書を読んでメンタルを高めておいてもいいだろう。

文=いのうえゆきひろ