「トラウマ必至!」の最恐コマベスト3 【小松左京の怖いはなし『霧が晴れた時』】

マンガ

更新日:2017/2/7

 『日本沈没など』のベストセラーで知られる作家・小松左京が遺したホラーの名品を、電子書籍オリジナルコミックとして配信する【小松左京の怖いはなし】。現在まで4作品がリリースされている話題の同シリーズから、「トラウマ必至!」の最恐コマベスト3を選出。3日連続でそのコマを紹介しよう。あなたにとって一番コワいのはどれ?

ベスト3 『霧が晴れた時』(稲垣みさお:マンガ、小松左京:著)

『霧が晴れた時』(稲垣みさお)

 休日を利用してハイキングに出かけた幸せそうな4人家族。駅前の温泉街を抜け、ハイキングコースに入ってしばらくすると、空が暗くなって、あたり一帯に霧がたちこめてくる。それは登山に慣れている父親でも、妙に感じるほどの濃い霧だった。

 峠の茶屋で休憩することにした一家だったが、そこには人の姿はなかった。ちょっと前まで誰かがいたのか、ガス台におでん鍋がかかったままだ。

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 息子の竜彦は、「マリー・セレスト号みたいだね」と口にする。マリー・セレスト号というのは、乗組員が不自然な消失をとげたことで、世界のミステリー史に名を刻んでいる帆船だ。その状況とよく似ている、と竜彦はいうのだ。

 茶屋のおでんを食べたいという母親と娘の靖子をその場において、近くの岩場まで歩きだした父親と竜彦。しかし、いつまで待っても2人は茶屋から出てこない。竜彦が戻って様子を見に行くと、母親と靖子の姿は消えてしまっていた!

 不気味な霧が立ちこめる中、山からは次々と人が消えてゆき……というわけでご紹介したいのが次のコマだ。

 山の中の民家や、走っていた軽トラックまで無人になっていることに気づいた父子は、大急ぎでふもとの駅まで戻る。そこならきっと人の姿があるはず。そんな願いが裏切られるショックと、さびれた温泉街にたちこめる白い霧……。

 もし、あなたのまわりから次々と人の姿が消えたらどうしますか? そんな恐怖と不安を描いた小松左京のダークな短編を、稲垣みさおがコミックで再現。「霧が晴れた時」というタイトルの意味が、少しずつ分かってくるストーリー展開も怖ろしい。

 こうした絶望感満載のホラーがお好きなら、同シリーズで配信中の「すぐそこ」(未浩)もオススメ。山道で迷子になった男の悲劇を描いて、不条理な怖さにゾーッとさせられる逸品だ。

文=朝宮運河

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■「小松左京の怖いはなし ホラーコミック短編集」
発売日:2016年7月26日(火)
<デジタルコミック>
配信プラットフォーム:Amazon Kindleほか、電子書店各サイト
価格:各100円
<朗読作品>
配信プラットフォーム:定額制オーディオブック配信サービスAudible
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