「ホテル」はただ眠る場所ではなかった! ホテルを大人に楽しむ“ムフフ術”

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更新日:2016/9/12

『伝説のホテルマンが教える 大人のためのホテルの使い方(SB新書)』(窪山哲雄/ SBクリエイティブ)

「ホテル」ってなんだろう? しがない原稿を書いてジャリ銭を集める日々のボクにとってホテルは「人目を憚らず(できれば誰かと)眠る場所」そんな程度の認識でいた。なので、1円でも安いホテルを良しとしていたし、ホテルマンやそのサービスに目を向けたことなんてこれまで一度もなかった。しかし、『伝説のホテルマンが教える 大人のためのホテルの使い方(SB新書)』(窪山哲雄/ SBクリエイティブ)を読んで、ホテルへの認識が改まった。

読めば100倍楽しめる! 大人必読のホテル指南書

 本書の著者、窪山哲雄さんは石ノ森章太郎の漫画『HOTEL』のモデルともなったカリスマホテルマンで、世界中のホテルサービスを知り尽くした人物である(高嶋政伸主演でドラマ化されている。「姉さん、事件です」のフレーズで知る人も多いだろう)。そんな窪山さんが教える「ホテル」は“ただ眠るだけの場所”ではない。曰く、「疲れを癒し、明日への活力をチャージする場所」がホテルであり、一度も押したことのないリモコンのスイッチのように、世間ではあまり知られていない便利なサービスがたくさんあるそうだ。本書ではそんな目から鱗のホテル活用法が紹介されている。

 例えばフロントのセクレタリー(秘書)機能。コピーやプリントアウトなど雑事をまかせたり、荷物の受け取りや電話の取り次ぎ、海外からのゲストに対応するための翻訳や通訳の手配をしてもらったりと、フロントは様々なビジネスシーンに応用することができる。

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 また、「ホテルのプールは泳がないで楽しむ」や「高級ホテルでロールスロイスはNG」「ホテルのグレードは朝食のベーコンでジャッジ」など、ホテルでの振る舞い方や目利き術も事細かに記されていて、本書を読んでおけば通常の宿泊料金で普段の何倍もホテルを楽しむことができるだろう。更には、本書からはホテルマンの徹底されたサービス精神をうかがい知ることができ、サービス業に従事している人は業界を超えて勉強になるはずだ。

最高のエスコートができる男はこの世で一番かっこいい

 ところでエスコート(≒おもてなし)ができる本物の紳士淑女はどこにいるのだろうか? 答えはホテルにいる。 本書を読んで気づいたこと。それはデートや家族サービスの場としてグレードの高いホテルは……、もってこいだということ。最高のエスコートができる男は有無を言わさずかっこいい。そして、良いホテルはホテルマン一丸となって最上級のエスコートがなされる。なので、そんなホテルをシレッと使いこなせれば、立派なジェントルとしてあなたの株が急上昇するに間違いない。

 それでも「高級ホテルなんて使い慣れないからボロが出てしまいそう……」と躊躇う人は多いだろう(ボクもそうです)。そんな方に知っておいていただきたいのはコンシェルジュの存在だ。コンシェルジュとはお客さんとの窓口に立ち百者百様のリクエストを聞いて、なんとか応えようとするホテルスタッフである。ホテルの利用が慣れない方は、このコンシェルジュに何でもぶっちゃけまくるのが得策だろう。

 例えば、ホテルで結婚記念日を過ごしたいとする。そしたら、コンシェルジュに、特別な結婚記念日を演出したいという旨と予算を伝え、「どんな服を着れば適切なのか」とか、「バーでどんなお酒を注文すれば恥ずかしくないか?」など不安を余すことなく伝えるのだ。するときっと「それでは部屋にサプライズ用のシャンパンを入れるのはいかがでしょう」「当館ではシャツにチノパン、スニーカーで問題ありませんよ」「バーでは奥様の好物にちなんだカクテルをお出ししましょう」「近くを散策するなら○○がいいですよ」など、親身になって応じてくれるはずだ。

 ガイドブックやインターネットを隈なく探して一からプランを考えるのもいいが、エスコートのプロが集まるホテルで最上級のサービスを堪能すれば、特別な人を日常の鬱屈から解き放つことができるだろう。これからの行楽シーズンは少しリッチなホテルで、大切な人と大人な休日を過ごしてみるのはいかがだろうか?

文=大宮ガスト