ストレスも悩みも感じない!マサイ族ともすぐに仲良くなれる、千原せいじの驚異の「がさつ力」とは?

芸能

公開日:2016/9/10


『がさつ力』(千原せいじ/小学館)

 「ストレスを感じない人間になりたい」と、誰もが一度は思ったことがあるだろう。だが、そんな人間など、一体どこにいるのだろうか。それが、なんと、芸能界には、「ストレスを感じたことも、悩みも抱えたこともない」と言い切れる男がいるらしい。その男とは、お笑い芸人の千原せいじだ。一体その秘訣はどこにあるのだろうか。

 千原せいじ著『がさつ力』(小学館)は、ストレスフリーに暮らすせいじの秘密が詰まった1冊。せいじは、普段、周りのから、「口が悪くて図々しい」とか「信じられないほど慣れ慣れしい」と散々な言われようの人物だが、彼の「がさつさ」こそがストレスのない毎日を送る源だ。せいじ曰く、自身の「がさつさ」は、半分は生まれつきだが、残り半分は意識的にやっているもの。その「がさつ力」に学べば、日々のストレスが少しは軽くなるかもしれない。

 せいじ曰く、「がさつ」とは、合理性だという。例えば、せいじは、他人とコミュニケーションを取るために空気を読むことも、気を遣うこともしない。「ズカズカ踏み込んでいったほうが、相手も本音で話すし、深いところまでわかり合えるでしょ」。仲良くなるために時間をかけている暇はない。

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 せいじは、ここ数年「世界の村で発見!こんなところに日本人」(朝日放送)という番組で、毎月アフリカの54カ国を回っているが、外国人に対しても、「がさつ力」を武器に接している。ケニアにあるマサイ族の村へ取材に行った時は、族長の嫁や子ども、孫の数に驚き、びっくりして素直に「アナタ嫁さん何人おるねん! めっちゃ頑張ったな!」と笑ったら、それだけで意気投合できた。絶対的なリーダーである族長と対等に話したことから、若者からも一目おかれ、翌日には、せいじが歩く後ろを若いマサイ族がついてきて、世話を焼いてくれるようになったという。

 もし、言葉が通じないとか常識や文化が違うとか、勝手にそういう先入観を持って臆病になっていたら、マサイ族と意気投合することはなかっただろう。相手に変に気を使わず、その場で思ったことを素直に伝えたからこそ、気に入ってもらえた。相手への気遣いは、文化への敬意だけで十分。相手が不快に感じることはしないということだけ心がければ良いに違いない。

 マサイ族相手だろうが、仕事関連の人だろうが、せいじの態度に違いはない。「他人から嫌われたくない」と人に気を遣い過ぎる人が多いだろうが、せいじに言わせれば、それは取り越し苦労。自分が正しいと確信していることを言っても、違う意見を持っている人はいるし、誰かとコミュニケーションをとるということに衝突はつきものである。せいじは、衝突を恐れない。いつも自分の感じたことを相手に素直に伝え、時に、腹が立ったら、素直に怒る。飲み屋で図々しく話し掛けてくる人とか、仕事で少し関わっただけなのに無礼な態度で接してくる人など、信頼関係のない人間との衝突は特に恐れる意味がない。そもそも自分にとって人生を左右する人間なんてどれだけいるのだろうか。付き合っていて対して面白くもない、メリットもないような人間との縁なんてスパンと切ってしまっても困らないのだ。

 せいじは、誰を見下すことも、逆に変にかしこまることもせず、どんな人とでも対等に接しようとする。息子に対しても、対等で接し、「俺が親父でごめんな!」とよく謝る。息子をしつけるつもりも、教育するつもりもない。ただ、親として、そばにいて、同じ目線で接してやるだけだ。

 我々は、いろんな物事を難しく考えすぎているのかもしれない。せいじのように誰とでも隔たりなく、思ったことを素直に表現していれば、どんなことでもストレスなどかからないのかもしれない。

 空気を読み過ぎて疲弊しがちな現代社会にこそ、せいじの「がさつ力」は必要だ。仕事も遊びもテンポよく進めて、人付き合いを楽しいものにしたいのならば、ぜひ、せいじを見習って、「がさつ」に過ごしてみるのも良いだろう。すぐにはできないかもしれないが、意識してみることで、ストレスはぐんと減るに違いない。

文=アサトーミナミ