人気漫画家東村アキコのBefore&After写真の変貌ぶりに注目!! 40歳直前の絶叫ビューティマンガ!!!

マンガ

公開日:2016/9/21


『即席ビジンのつくりかた』(東村アキコ/講談社)

 「わしもう今年で40やがな―――」。人気漫画家である東村アキコさんが、ビルの上から絶叫するシーンではじまるのが、『即席ビジンのつくりかた』(東村アキコ/講談社)である。冒頭から「この作品は自分の力で美しくなることをハナっから諦め(中略)一人のアラフォー漫画家の一年間にわたる戦いの記録である」の説明通り、美容好きだがジムにも行かず、毎日好きなものを食べ続け、やりたい放題やってきた著者が、40歳を前に一念発起。怠け者でも速攻キレイになれる美容クリニックとサロンを、著者自らが体当たりで取材した。その様子はドキュメントマンガとして、美容雑誌『VOCE』で連載。本書はこの連載をまとめ、単行本化したものである。

 各章は「お腹の浮き輪肉を撃退したい!」「アゴのたるみを失くしたい!」「人面ヒザを何とかしてくれ!」などミッションごとに構成。アラフォー女性なら誰もが気になる顔や脚などの他にも、メイク・ヘアスタイル・歩き方の体験まである。

 例えば「ほうれい線を消してくれ!」のミッションでは、都内にある美容クリニックでほうれい線スペシャルコースの施術を受けた。まずビフォー写真として「ありの〜ままの〜♪」著者の顔写真がドーンと登場。顔のコリをマシンでほぐし、口の中に手をつっこまれてほうれい線をマッサージする様子など、著者の体験はすべてマンガで描かれている。

advertisement

 見るからに痛そうな施術そうだが、アフター写真ではほうれい線は消え去り、顔そのものが一回り小さくなっている。まさに即席キレイとは、このことだろう。ミッションの最後には施術内容のおさらいと、美容クリニックの連絡先や料金も掲載されている。同じ施術を体験したい人にとっても、わかりやすい。

 この他にも「オバ垂れ目をキュッと上げたい!」のミッションでは、顔中に鍼を打って、まるでハリネズミのような顔になっている著者の写真と、マドラー風の器具を使って顔のあちこちをほぐしている様子も描かれている。もちろん最後の写真は、即席キレイ! 目尻も頬もちゃんとリフトアップされ、さらに美しく輝く著者の姿がある。本書を読み進めていくうちに、プロの手にかかると40歳を過ぎても女性はどんどん美しくなることがわかる。

「この連載がなければ、もう40歳だから、って楽な道に行ってたと思う。(中略)でも施術を受けたら、こっちの道のほうが女はまだまだ楽しいんじゃないかと」と著者も語るように、サロンに通っているうちに自堕落だったやりたい放題の生活は、いつしか変わっていった。運動嫌いだったはずの著者が、気づけばランニングを開始。週2回、毎回5キロを走るようになり、体重も4キロ落ちたという。一年間の連載を終えて著書が気づいたのは、即席でビジンになることよりも、即席で気持ちが変わるということだったのかもしれない。

 この他にも担当した編集者との座談会や、著者のフォトギャラリーも掲載されている。美は1日にしてならず――美容情報満載の体験エッセイとして読むもよし、ドキュメントマンガとして楽しむのもおもしろそうだ。

文=富田チヤコ