忙しくて時間がなくても親子の絆を深める「魔法の言葉」

出産・子育て

更新日:2016/10/31

 子どもは親に褒められるのが嬉しい。褒められるから特定の言動を繰り返し、やがてそれが個性の一部になったり、特技として身についたりすることがある。世間では「褒め育て」への批判もあるが、『今しかできない! 子供の脳力を引き出す ここ一番の言葉』(おのころ心平/かざひの文庫)は、褒め育てを肯定する論拠を次のように示している。

(イメージ力のついてくる4歳から、思考力が飛躍的に発達する)9歳まで、母親や父親の評価は第一優先事項なのです。大人が子供の小さな行為をクローズアップして、ほめるという行為でいわばロックオンしてあげることで、子供はその場面をスローモーションのように引き伸ばして記憶に残します。

 ただ、むやみやたらと褒めればいいというものでもない。そんなことをすれば、子どもの感動は半減し、親自身も疲れてしまう。本書によると、子どもの「褒めどころ」は7つある。キーワードは「1・共感力」「2・傾聴力」「3・観察力」「4・記憶力」「5・編集力」「6・伝達力」「7・達成力」。子どもの生きる力に直結するこれら7つの力の“芽”が見えたとき、親はロックオンして褒めると芽を伸ばせるそうだ。

 例えば、人との良好な関係づくりに欠かせない「共感力」の芽は、子どもがよく笑ったり感動したりと感情豊かに表現しているときや、まわりの人から「親切だね」と言われたときや、自分より他者を優先したときなどに見える。このとき、親は「やさしいね」「気持ちが読めるんだね」などと褒めることで、子どもは芽を伸ばす。人の話を最後まで聞いたり、頼まれたことを聞きもらさなかったり、いったんした約束事を守ったりするなど「傾聴力」の芽が見えたとき、親は「よく聴いてるね」「よくそんなことがわかるね」などと褒める。「編集力」とは、情報に優先順位をつけて、並べ替えたりまとめたりする思考の構成力ともいえる。子どもがその場に合った適切な態度をとれたり、上手に会話ができたりしたときに、親は「すごくいい言い方だね」「なるほど、そうか」などと褒める。

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 子どもを褒めるためには、伝え方やテクニック以前に、まず子どものその行動に気づけなければならない。親は小さなことでもよく見てあげている必要がある。本書は、子育ての成功は「親の本気の関心」こそが引き寄せるとしている。

文=ルートつつみ