子どもの貧困に向き合う「子ども食堂」―地域で子どもを見守る意味とその運営方法

出産・子育て

公開日:2016/9/24

『子ども食堂をつくろう! ── 人がつながる地域の居場所づくり』(NPO法人 豊島子どもWAKUWAKUネットワーク/明石書店)

「子どもの貧困」に注目が集まる中、全国各地で、地域の子どもに食事を提供する「子ども食堂」のオープンが相次いでいる。朝日新聞デジタルの2016年7月1日の記事によると、子ども食堂は5月末時点で少なくとも全国に319カ所存在。今後はさらに増える見通しだという。

 政府が公表した子どもの貧困率は、本書によると2011年は15.7%、2014年には16.3%と徐々に増加しており、子ども食堂の多くは「子どもたちの育ちを地域の力でできる限り支えたい」と願う有志によって運営されている。まずはすべての子どもたちのおなかを満たしたい。そんな気持ちから食事の提供は無料か安価で、食堂によってはさらに学習支援や、夜の送り迎えなども行う。開いている場所は、公民館や集会所、寺・神社・教会、児童館、高齢者施設、定休日の飲食店などさまざまで、受け入れ人数も数人の家族規模から、学級規模の30~40人を超えるところまでまちまちだ。

子ども食堂をつくろう! ── 人がつながる地域の居場所づくり』(NPO法人 豊島子どもWAKUWAKUネットワーク/明石書店)によると、「子ども食堂」は、子どもの親でも友達でもない“地域の人”が運営するからこそ、食事の提供以外に加えてできることがある。それは子どもの本音を聞くこと。親でも友達でもないからこそ、「親と2人でいると、息がつまる」「高校に行けないかもしれない」といった困りごとや悩みごとを打ち明けられるという。

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 子どもの行動範囲は、せいぜい自転車で行ける範囲。だからこそ地域という行動範囲内に、子ども食堂のような子どもが行きたくなる場所が必要だ、と本書は述べている。本書には、誰でも実践できる子ども食堂のつくり方や、各地にある子ども食堂の情報など、子ども食堂に興味がある人に向けた内容、さらには実際に子ども食堂を運営する人たちの声なども収録されている。子ども食堂の実態に触れつつ、子ども食堂の存在意義が感じられるはずだ。

 本書に掲載している「子ども食堂の利用者の声」の一部、ならびに、各地の子ども食堂をネットワーク化するホームページ「こども食堂ネットワーク」のURLを下記に紹介するので、子ども食堂を利用してみたい、手伝ってみたい、立ち上げてみたい、などの人にご覧いただきたい。

子ども食堂の利用者の声

◎遊べるのが楽しい!(幼児)

◎ご飯が大人っぽくて食べれないけど、手作りパンが美味しい。(小学生)

◎みんなでワイワイご飯が食べれて楽しいです。(中学生)

⇒こども食堂ネットワーク

文=ルートつつみ