月刊「HERO’S」編集長語る 「世界に通用するヒーローを育てたい」

マンガ

更新日:2011/12/22

 もっとヒーローマンガを読みたい……物語に熱くなりたい!
そんな欲求にこたえてくれる、ヒーローに特化した新雑誌が11月1日に創刊された。その名も、月刊『HERO’S』だ。

 「ヒーローを主人公にした作品は、マンガの王道ですよね。ヒットしているマンガというのは、ほとんどがヒーローものだと思います。ただ、ヒーローものに特化して、そのものズバリを打ち出した雑誌が、これまでになかった。だから、奇を衒ったことをやっているつもりは特にないんです」
そう語るのは、創刊編集長・田中聡さん。創刊準備にあたり、ヒーローの勉強会を開くなど、現代のヒーロー像について、様々な角度から考えたという。
 「日本のヒーローというと、ウルトラマンが代表的ですが、今の時代に一人で大きな怪獣と戦うヒーローにリアリティはあるだろうか……といったことをいろいろ考えました」

 その間に、東日本大震災が発生した。

「そこで一度立ち止まって考え直し、また前に進んだという感じです。あのとき、自衛隊の方が活躍したり、情報を発信する人がいたり、個人がヒーローになりましたよね。そうしたヒーロー像がこれまでの日本にはあまりなかった。震災を境にヒーローの在り方や考え方も、変わりはじめているように思います」

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 誰しもが知る往年の特撮ヒーロー『ウルトラマン』をモチーフとした次世代の『ULTRAMAN』から始まり、坂本龍馬や風魔小太郎といった歴史上の英雄が登場。かと思えば、強化スーツものや近未来もの、ピカレスクロマンなど、8作品それぞれ趣の異なるヒーローが描かれ、実に多彩だ。

 「創刊にあたって、まず意識したのが、分かりやすさ。誰もが共有、共感できる物語を創ろうというところから始めました」
「未来形コミック」というサブタイトルが示すように、『HERO’S』は、いくつもの新たな試みを実践している。
新しい作家、新しい絵を求めるうちに、『HERO’S』編集部の目は、自然と海外に向かった。その先駆けとなったのが、韓国のマンガ家たちだ。

 「韓国に行ってみて驚きました。彼らは日本のマンガの本当に良質なところだけを読んで育っていて、力量は日本のマンガ家と遜色がない。それでいて、今までに見たことのないような新鮮さがある」

 「今後は中国の若手作家に誌面を飾ってもらいたい」と言う田中さん。『HERO’S』が目指すのは、世界標準のヒーローだ。
ヒーローという枠組みの中で、何を描けば一番面白いか――。いたってシンプルだからこそ、難しく、そのぶん可能性を秘めている。

 「より多くの人に面白いと思ってもらえるマンガを作る。当たり前のことですが、そこをきちんとやりたい。話が大きくなってしまいますが、日本だけではなく、アジアやアメリカでも読まれ、映画化、ゲーム化されるようなヒーローを生み出していきたいですね」

月刊『HERO’S』公式HP

(ダ・ヴィンチ1月号 コミック ダ・ヴィンチより)