『未来日記』えすのサカエの最新作『ビッグオーダー』が堂々完結! 異能力者たちのバトルの行方は…

マンガ

公開日:2016/9/26

『ビッグオーダー』(えすのサカエ/KADOKAWA)

 累計発行部数400万部を誇り、アニメ化、実写ドラマ化もされた大ヒットマンガ『未来日記』(えすのサカエ/KADOKAWA)。その奇想天外な設定とストーリーは、マンガ好きの度肝を抜き、いまだにファンが絶えない作品となっている。そんな作者・えすのサカエさんによる最新作が『ビッグオーダー』(KADOKAWA)。本作もまた、奇抜な発想を活かしたバトルマンガに仕上がっており、この春にはアニメ化もされた。そして先日、ついに最終回を迎え、9月26日(月)にはラストエピソードを収録した第10巻が紙版電子版ともに発売された。

 本作は、「願い」を「能力」へと変える謎の存在・DAISYにより、「オーダー」と呼ばれる異能力を授けられた者たちの戦いを描いた作品である。「家族の再生」「世界の平和」「空を飛ぶこと」など、その願いはさまざま。それらが能力となり、他のバトルマンガとは異なるギミックを効かせた戦いが繰り広げられている。まさに、『未来日記』のえすの節が全開だ。

 主人公となるのは、高校生・星宮エイジ。彼が願ったのは、「世界の支配」という大きなもの。しかし、彼はその能力を封印して生きている。それは、彼が能力を得た10年前、その強大な力が暴走し、世界が滅亡の危機に瀕してしまったから。以来、彼は自身を責め続け、怠惰な毎日を送っているのだ。

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 そこに現れたのが、活発な女子高生・紅鈴。彼女は転校初日からエイジに近づく。その目的は、彼の殺害。10年前の世界崩壊で両親を失った鈴は、その元凶であるエイジに復讐しようとやって来たのだ。

 もちろん、エイジは抵抗する。しかし、最愛の妹である瀬奈を人質に取られ、手も足も出ない。そこで彼は、封印していた能力を発動させ、妹を救い出すことに成功する。そしてさらに、自分の命を狙った鈴を「支配」することで、誰の命も奪うことなく事態を収拾させるのだ。

 そんな矢先に、エイジは異能力者による新世界設立を目的とする大宰府政庁に拉致され、傀儡としてのリーダーにさせられてしまう。そして、彼らは日本政府に宣戦布告し、各地の実効支配を進めていくのだが……。

 本作の見どころは、想像もつかないような能力を持つ者たちのド派手なバトル。そして、10年前の事件を起こした原因はいったい誰なのか、というところにある。当初はエイジがすべての原因として語られるのだが、物語が進むにつれ、その背後にいた黒幕の姿が明らかになる。そして、第9巻、第10巻では、まさかの存在がエイジの前に敵として現れることに。これ以上はネタバレになるので伏せておくが、エイジが守り抜こうとしてきた者が最後には敵となってしまう展開は、非常に胸アツだ。

 そして、すべてが解決され、希望に満ちたラストエピソードはとっても爽快。「願い」が「能力」になる世界で、彼らはどのような結論を出したのか。ぜひ、その目で確かめてみてほしい。

文=五十嵐 大