最近、美容も人間関係もさぼってない?「大人美人」 だけが備えている「俯瞰力」とは?

暮らし

公開日:2016/10/5

『大人は「近目美人」より「遠目美人」』(鈴木ハル子/講談社)

 美は一日にして成らず、という言葉があるように、美しくいるためにはそれなりの時間とお金をかけ、日々努力することが必要だ。おそらくそれは多くの女性が認識していることだろう。だが実際は、仕事や家事、子育てなど忙しさに追われ、ストレスの多い生活の中、美しくいたい願望はあってもなかなか余裕がなくて…という人も多いのではないだろうか?

 30年間、外資系化粧品ブランドの社員だった鈴木ハル子氏の『大人は「近目美人」より「遠目美人」』(鈴木ハル子/講談社)は、自らの経験をもとに「楽になる」をテーマにした美のメソッドをまとめた本だ。固定観念に捉われがちな美の定説から解放されるような本書には、真の美しさ=遠目美人の意味が、温かいアドバイスとして紹介されている。

 美容、ファッション、暮らし、人間関係と4つの章で構成された本書。冒頭「はじめに」の中で鈴木ハル子氏は本書のタイトルにもある「遠目美人」の定義について記されていた。

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ファッションや美容など見た目に関わることも、働き方や生き方など自分の人生の根幹に関わることも、自分との距離が近い「近目」だと主観的になり、長所も欠点も意外に見えなくなることがある。一方、自分との距離をあけて「遠目」で見てみると、「近目」では気づかなかった全体のバランスがわかったり、まわりとの比較ができたりと、自分を客観的に見ることができるのです。

 簡単なようで一番難しいのが、自分を知ること。美しさも生き方も、ちょっとした気づきや心がけで目指す自分に近づける。それが結果的に楽になれるというのだ。では、どうやって楽になるのか、紹介しよう。

「美容が楽になる」では、
・ボディクリームを塗ると「なんか違う」キレイがやってくる
・調子が悪い時ほど、シンプルなメイクが味方になる
・美のキャッチボールは、大人のキレイだけでなく人間関係も育む
など、より自分への理解を深めるための、楽な心身の美容方法について記している。

「ファッションが楽になる」では、
・「着る服がない!」ストレスから解放される
・前日に着こなしを決めておくと人生が上向く
・うまくいかないとき、救ってくれるのは「おしゃれ心」
など、気持ちとファッションの相性や全体のバランスを見ることで「美のオーラ」が生まれることを説いている。

「暮らしが楽になる」では、
・「普段」の延長線上で人を招くことこそ、最高のおもてなし
・食器と家具は「少数精鋭で」豊かな時間を
・見えないところから掃除すると空間も自分も浄化される
など、肩の力を抜いて自分自身がシンプルに心地よく暮らすための新習慣が提案されている。

「自分も人間関係も楽になる」では、
・この人といると心地いい…。会話の秘訣は「3対7」
・心の「扉」を少し開けておくと人間関係が楽に
・同じ言葉でも跳ね返すと「否定」、受け止めると「意見」
など、大人美人として大切な俯瞰力、相手との心地よい距離感を保つことの大切さが語られている。

 その他、イラストつきコラムでは、トータルビューティアドバイザー鈴木氏自身が実践してきた「楽にキレイになれる毎日の美習慣」として、スキンケア、メイク方法、美の土台を作る表情ケア。そしてスイーツタイプ別メイクアドバイスもチェックテスト付きで紹介されている。すぐに役立つ美のバイブルとして取り入れたいテクニックばかりだ。

 最後に本書のテーマである「俯瞰力」について鈴木ハル子氏はこう語る。

俯瞰力は「気づく」力。まるで高い所から見下ろすように、もうひとりの自分が励ましたり、戒めたりする。それが成長につながり、自分らしさが明確に見えてくる。そして何があってもぶれない自分でいられるから、生きるのが楽になる。余裕や優しさが生まれ、まわりへの感謝にもつながり、美のスパイラルが生まれるのではないでしょうか?

 全編にわたって感じるのは、心の透明感、清潔感である。日々の暮らしにおいて、自分を少しだけ高めることによって「自分を楽にする」という方法は、頑張りすぎなくても、ほど良い抜け感で女性は素敵でいられることを愛情込めて教えてくれている。60歳になっても清潔美を保ち続けている美容業界のレジェンド、鈴木ハル子氏。楽にキレイになる毎日の美習慣を実践して、真の美しさを纏う遠目美人を目指そう。

文=藤本雪奈