休日出勤や残業が業務なら、“家からメール”手当も作るべき

ビジネス

公開日:2016/10/17

休日に家でゆっくり休めない社員が続出!?

「平日は会社でハードに働き、休日は家でゆっくり休む」

 そんな仕事とプライベートをはっきり分けた生活が崩れつつあるらしい。原因は休日にも関わらず会社から送られてくる「勤務時間外のメール」。今はスマフォでも社内メールを受信できるため、休日でもメールのチェックや返信に時間を取られてしまい、ゆっくり休めないという不満を持っている社員も多いようだ。

 私自身も会社員時代からフリーランスで働いている現在も、休日にメールを確認したり返信したりすることはよくある。クライアントの中には土日休みではない企業もいるので、時に平日よりも多くのメールをしてしまう日もあり、時々奥さんに怒られる。理想的には週末はメールやパソコンを見ずに家族とゆっくり過ごしたいものだ。

advertisement

 きっと不満の原因の1つは、休日出勤や残業は「勤務時間外労働手当」がつくことが認められているが「週末のメールの送受信」はほとんどの場合「労働」とみなされていない場合が多いことだろう。どんなに週末メールをチェックして返信したところで、仕事として評価されることはほとんどない。

 しかし現代のビジネスパーソンであれば会議や資料作成などの業務以上に「メール」に費やしている時間は圧倒的に多い。そしてたまたま一生懸命作成して送った、たった1通のメールが仕事の大きな成果に結びつくことだってある。それが会社からであっても、家からであっても特に影響はないはず。

 今の時代はもっと「メール業務」や「在宅ワーク」に対する見方や評価を考えなおすべきなんじゃないかと思う。

“休日メール手当”から始まる新しい働き方

 私が普段仕事で関わることの多い株式会社リクルートホールディングスは、2016年から雇用形態に関わらず全ての従業員を対象に自宅やカフェでの勤務を認める「リモートワーク」を本格的に導入している。

 業務内容は社員や部署によって異なるが、ほぼ全ての社員が自宅やカフェで共通して行う業務が「メール」だろう。実際リクルートの社員から私のアドレスに送られてくるメールの中にも「本日は自宅勤務なので…」と書かれていることもある。こちらは正直毎日がリモートワーク?みたいなものなので、まったく違和感はないが、普通の会社であれば「家からメール=勤務」とはなかなか認められるものではないだろう。しかし実際には、多くの業務が「家からメール」で済むことも多いはずだ。

 私は研修やコンサルティングを行ってお金を頂く仕事をしているが、時々自宅で1時間以上かけて作った(力作の?)長文メールで、十分研修やコンサルティングの役割を果たしていると感じることもある。しかし当然「今月はいいメールを○通送ったので…」と請求書を出すことはない。まだ「メール=お金を払うべき業務」とまではみなされていないからだ。

 だからこそ、これからは会社から「休日勤務手当」だけでなく「休日メール手当」も支給されるべきなんじゃないかと思う。もちろん「無駄な休日メール」とかで稼ぐ社員が出ないよう将来的にはAIとかでメールの内容なんかもチェックしていく必要もあるかもしれないが、少なくとも「家からメール」も立派な業務として認められるべき時代だと思う。そうすることで今までの「必ず会社で」「必ず対面で」というあまり意味のない業務上の常識を崩し、それぞれの社員がそれぞれのライフスタイルに合わせた新しい働き方でパフォーマンスを発揮できる社会になると思う。

文=citrus小寺良二