恋愛偏差値マイナスの武蔵くんと村山さんは付き合ってみた。「恋愛っていいな」と思わせる武蔵くんの男気を見よ!

マンガ

公開日:2016/10/18

『武蔵くんと村山さんは付き合ってみた。』(なるあすく/泰文堂)

 読者は、初めて異性と付き合ったときのことを覚えているだろうか。私は覚えている。「好きだ」「一緒にいたい」という気持ちが強くあるのと同時に、「でもどうしたらいいんだ?」という手探りのような迷いもあった。連載型新作マンガ配信サービス「GANMA!」連載中のマンガ『武蔵くんと村山さんは付き合ってみた。』(なるあすく/泰文堂)の最新5巻が10月15日に発売された。本作は、読者のウブでピュアな思い出をよみがえらせてくれる一冊だ。

 主人公は、少々ひねくれている村山さんと臆病で自分に自信のない武蔵くん。高校2年生の2人は、クラスの席替えで隣同士になった。授業中、武蔵くんは村山さんから教科書を借りることになり、そのせいでなぜか村山さんが「私と付き合えって言われたら付き合えるわけ?」という売り言葉に似た発言をすることになり、真に受けた武蔵くんは「いい…けど? ぼくで…よければ…」と承諾してしまう。恋愛偏差値ゼロに等しい2人は、思いがけず付き合うことになった。

 さきほど私は「読者のウブな思い出をよみがえらせてくれる」と述べたが、もしかすると撤回しなくてはならないかもしれない。少しずつ距離を縮めていく2人だが、「一緒に帰ろうよ」となかなか言い出せない、頭をなでるだけでも戸惑いの連続、デートに誘うだけで文学小説並みの心情が2人を駆け巡る。高校生どころか、小学生も笑ってしまいそうだ。他に類を見ないウブさを誇る作品であることは間違いないだろう。

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 ところがある日、村山さんを狙うライバルが現れる。村山さんと同じ学童クラブに通っていた高校1年生の岸くんだ。煮え切らない態度の武蔵くんに憤る岸くんは、ボーリング場にて、村山さんをかけた勝負を持ちかける。5巻では、この勝負の行方から始まる。どこまでも頼りない武蔵くん。しかし、この岸くんが登場したことをきっかけに、武蔵くんはちょっとだけ男らしくなることができる。村山さんを想う気持ちがあるからこそ、成長していく武蔵くんの姿に、やっぱり恋愛っていいなと感じさせてもらえる。

 素直になれない2人の失敗や不可解な行動は、これまでの私の恋愛人生の失敗を見事に思い出させてくれた。本書を読みながら「うほー」「おおお…」という呻き声を何回も連発してしまった。恥ずかしくも懐かしい感覚だ。あの頃はウブでピュアだった。良い時期を過ごした。しかし今では女性を見ると…いやいや、やめておこう。ピュアだった自分を思い出したい方は、本書を手にとって読むといいだろう。

 また、本書の最後には、さらなる波乱の展開を予想させる出会いが描かれている。「あちゃーその2人が出会ってしまうのかー」という展開に、次巻の発売が待ち遠しくてたまらない次第だ。

文=いのうえゆきひろ

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