「大坪由佳」声優インタビュー&ミニグラビア【声優図鑑】

アニメ

公開日:2016/10/21

大坪由佳

編集部が注目する声優に、声優を目指したきっかけや、初めてのお仕事、そしてプライベートなことまで、気になるあれこれについてインタビューを行い、さらに撮り下ろしのグラビアも交えて紹介する人気企画「声優図鑑」。

第143回となる今回は、テレビアニメ「ゆるゆり」の歳納京子役、「アイドルマスター シンデレラガールズ」の三村かな子役などを演じる大坪由佳さんです。

――撮影はいかがでしたか? 紺色のワンピースが大人っぽくて印象的でした。

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大坪:作品関連の撮影だと、衣装をキャラクターのカラーに合わせたりするんですけど、今回は自分自身の記事だし、ずっとネットに残るので気合いを入れて選びました(笑)。最近は紺色みたいな落ち着いた色とか、星柄が好きなので、このワンピースを見たときに“これしかない!”と思って。

――洋服はどこで買うことが多い?

大坪:私は幅広くて、新宿、渋谷、原宿にも行くし、有楽町や銀座にも行きます。ウィンドウショッピングしながら、気になる洋服があったらすぐに試着して買ったりしますね。その街で働いてる女性を見るのも好きなんですよ。場所によって年代とかイメージが違って、有楽町では有楽町っぽい女性が働いてて(笑)。なので、いろんな街の女性に会いに行って、声をかけてくれるのを待ってます(笑)。

――大坪さんは2011年に声優デビューされてから、数多くの作品に出演されています。これまで転機になった作品を3つ挙げると…?

大坪:そうですね〜…いっぱいありすぎて…。まずはデビュー作の「ゆるゆり」(歳納京子役)。それから、声優アワードの歌唱賞をいただいた「這いよれ!ニャル子さん」(暮井珠緒役)。それと、個人的に演技の幅を広げることができた「悪魔のリドル」(番場真昼役・番場真夜役)ですね。

――「ゆるゆり」は2011年7月から放送されたアニメ。三上枝織さん、大坪由佳さん、津田美波さん、大久保瑠美さんの4人は、“七森中ごらく部”としてラジオやイベントでも活躍を!

大坪:今年5周年を迎えまして、ずっと続いていたラジオが6月で終わってしまったんですけど、4人ともプライベートでも仲が良くて。4人揃うことはなかなかないですけど、集まれるメンバーだけで会ったりして、昨日も一緒にご飯を食べました(笑)。

――最初から仲がいい印象ですけど、5年間に4人の中で変わったことは?

大坪:まず、私がお酒を飲めるようになったこと。で、深い話もできるようになりましたね。最初は右も左もわからなかったので、イベントやアフレコでもお任せしちゃうことが多かったんですよ。今はみんなで平等に支え合って、フォローしあえるようになったのかなと。

――アニメがスタートしたデビュー当時は高校生だったんですよね。

大坪:そうなんです。その制服を脱いだ時点で「ああー大人になってくー」となって、お酒を飲んだら「大人になったー!」って(笑)。それで今、私が4人の中でいちばんお酒が飲めるんですよ。飲んでも変わらないんです(笑)。

――“ザル”を通り越した“枠”ってやつですね(笑)。お酒はどんな風に覚えていったんですか!?

大坪:飲みに行くと、いろんなお酒を勧められるじゃないですか。日本酒…飲める、焼酎…飲める、ワイン飲める、ウイスキー飲める…で、いろいろ飲めることがわかってきて。そんなとき、すごくよくしてくださっていた先輩の松来未祐さんが、本人は全然飲めないのに、「大人のバーに連れてってあげるよ」って知り合いのツテでいいバーを探してくださって。バーって行ったことがなかったから、飲みたいものをいろいろ飲んでたら、本当に強いね〜って (笑)。で、そのうち松来さんが眠くなっちゃったんで、阿澄佳奈さんを呼び出すっていう(笑)。

――そこで「這いよれ!ニャル子さん」の、後ろから這いより隊の3人が揃っちゃったという(笑)。

大坪:揃っちゃった(笑)。で、阿澄さんとちょびちょび飲みながら。松来さんはずっとノンアルコールカクテルを飲んでいたんですけど、暗がりにいると眠くなっちゃったみたいで(笑)。私、今でもそのバーに通ってます、思い出のバーに…。

――大坪さんのために探してくださったバーに。本当にいい話です…。「這いよれ!ニャル子さん」は、2012年からスタートしたアニメ自体も挑戦的でした。

大坪:スタッフの方々も、自分たちのすべてをかけてやるぞ! っていう勢いで挑んでいた作品でした。何かをリスペクトした上にあるセリフとか、なぜそういうストーリーやセリフになるのかを、みんなで話しながら見られる作品っていうのも新しくて。その頃に増えてきていた、実況とか、コメントの弾幕で語れる時代にうまくヒットしたんじゃないかなって思います。そこへ、MONACAさんと畑亜貴さんの楽曲もうまく乗っかって。

――作り手さんの嗅覚のスゴさを感じます。そして、2014年のアニメ「悪魔のリドル」では演技の成長を感じられたと。一人二役で、二重人格の番場真昼と番場真夜を演じるという難しい役柄でしたね。

大坪:もしこの役を演じたら難しいんだろうなと思いつつ、でも成長できるだろうなと。自分の中にも、彼女のように人見知りな面があるんですけど、もっとそこを磨いていかなきゃと思ったし、参考動画もいっぱい見ました。人としてイヤな部分も表に出る作品でもあったので、自分の中にあるそういった一面もさらけ出せたのかなって思います。この作品以降は、真昼みたいに気弱なキャラをいただけるようにもなりました(笑)。

――最近では、「アイドルマスター シンデレラガールズ」のお菓子好きアイドル・三村かな子役も人気が高いです。

大坪:かな子ちゃんは、常に幸せオーラを出していて前向きで、ホワホワしていて癒されるし、そこにいるだけで周りのみんなを幸せにできる女の子。セリフもポジティブな言葉が多いので、演じる側としても、どんどん引っ張られて幸せな気持ちになれるというか、すごく影響力があるというか。最近は、そんなかな子ちゃんのフワフワ感に私のオモシロ要素がだんだん加わっていますね。打ち上げの差し入れに、バウムクーヘンをひとりワンホールずつ焼いてきちゃったりとか(笑)。

――(笑)。出演作が増えるたびに、演技の振り幅が広がっていますよね。まだ他に演じてみたい役柄はありますか?

大坪:ずっと人外を演じたいって思ってたんですけど、この間初めて“うさぎの少年の役”を演じたんですよ。マスコット的なナビゲーターキャラで、すごく楽しくて、もっといろんな人外をやってみたいなと(笑)。

――そして、大坪さんといえば、お芝居だけでなく、イベントでのパフォーマンスの安定感にも定評があります! その年齢とは思えない落ち着きがあるというか。

大坪:あはは。スタッフさんからも「いるだけで安心する」って言われます(笑)。アフレコでも、まだハタチの頃に、音響監督さんから「大坪さん、もう27だっけ?」って言われたことがあって(笑)。好奇心旺盛で、上の世代の方とお話しするのが好きだからかもしれませんね。背が高いとか、見た目の影響もあると思うんですけど。そう言ってもらえるのは嬉しいです。個性だと思ってます(笑)。

――ああいったパフォーマンスをするには、どんな気持ちでステージに立っているんですか?

大坪:それはもう、“爪痕を残してやるぞ”っていう精神で(笑)。やっぱりお客さんに楽しんで帰ってほしいので。私自身も、なんでも楽しくなっちゃうタイプだし。それこそ、新人の頃からいろんなお仕事をさせていただいたので、自分ならこうしたい、新人なりにインパクトを残したいっていう気持ちでいたら、こうなりました(笑)。もちろん、作品や周りの方に恵まれているっていうのもあると思います。

――爪痕を残した上で、周りへの気配りも忘れないという。

大坪:常に、その場を俯瞰で見ている自分もいるので、自分が前に出るよりは、全体のバランスを見るようにはしてますね。喋っていない人がいたら、話を触れるような人になりたいって昔から思っていたので。最近になってようやく、そうすることが許されるようなキャラになってきているのかなって思います。

――そんなしっかり者の大坪さんでも、失敗談なんかはある?

大坪:もちろんあります! 「世界でいちばん強くなりたい!」のアフレコで、滑舌が甘かったからもう一度リテイクをお願いしたときに、「ありがとうございました」って言おうと思ったら、気が動転して「ありがとうございません!」って言っちゃったりとか(笑)。あのときは、後ろでみんながズコーッ! ってドリフみたいにコケてましたね(笑)。

――あはは。何でも楽しくなっちゃうということで、普段落ち込むことはないほう?

大坪:逆に、壁にぶち当たったり、迷ってるときのほうが楽しいと思っちゃう。今踏ん張るところなんだなって。目の前にある壁さえ乗り越えれば成果が出るはずだから、自分はその手前まで辿り着けているんだなと思うと、自己完結しちゃいますね。

――小学6年の頃から声優に憧れていたという大坪さんは、今や声優業界で知らない人はいない存在に。長い声優人生の中で、自分は今どんな段階にいると思いますか?

大坪:このお仕事をしていて思うのは、人に頼りにされて、必要とされることがいちばん大事だということ。自分はまだまだなので、自分ができることをもっとアピールして、もっといろんな場面で必要とされる人間になっていきたいですね。それと、あんまりブレないでいたいです。初心を忘れたくないですし、今している発言を何年か後にも認めてあげられるようになりたいなって思います。

――ブレていない感じ、すでに伝わってきます。充実したお仕事とは別に、プライベートで生きているうちに体験しておきたいことは?

大坪:スカイダイビングをしたいのと、生きているうちにもっと科学が進化したら宇宙に行って地球を見てみたいです! あとちょっとすると、宇宙旅行ができるようになって、地球が青いところまでは見えるみたいですよ。私、虫歯がないんですけど、虫歯がないと宇宙飛行士になれるって小さい頃に聞いて。ちょっと憧れてたときもあって(笑)。不思議なものが好きで、冒険も大好きなので、世界中のいろんなところに行ってみたいです。世界遺産も好きですし、お酒が好きなので各地のお酒を飲み歩いてみたいし、現地の人とも触れ合いたい。

――バウムクーヘン好きとしてドイツに行ったくらいですからね(笑)。

大坪:はい(笑)。次は、ワインの産地として知られるカリフォルニアのナパバレーとか、ウイスキーで有名なスコットランドのアイラ島にも行きたいです。

――かなりイメージが固まってますね。今すぐにでも出かけられそう。

大坪:最近の趣味が「世界地図パズル」っていうアプリで。世界地図に国をはめ込んで遊べるんですよ。穴あきのところに国を当てはめるパターンだと7分くらいでできます。“エキスパート”になると全部真っ黒の世界地図に当てはめていくんですけど、アメリカとか、わかりやすいところから攻めていくのがいちばんですね(笑)。

――なるほど。他に、最近ハマっているエンタメ作品を教えてください!

大坪:最近、「女の友情と筋肉」っていう漫画にハマってます。女の子のキャラがみんな筋肉ムキムキのコメディ系で、大好きですね。いつもは選んで買うタイプですけど、珍しく表紙買いしました。こういう内容だよってわかりやすい漫画を選ぶことが多いです。

――声優として、これから挑戦していきたいことはありますか?

いつまでも、人に夢を提供できるこのお仕事を楽しんでいきたいですし、いろんなことに挑戦したいです。あんまり他の人がやっていないことに真っ先に挑戦することが好きなので、またヘンなことを突発的にやり始めるかもしれませんが、そのときはどうか温かい目で見守っていただけたら(笑)。

――最後に、ファンのみなさんに伝えておきたいことをどうぞ。

大坪:私は人としてまだまだだし、もしかしたら複雑な人間だと思うんですけど、そんな私を理解して応援してくださる方々がいて、逆に尊敬させてもらってます(笑)。いただいたお手紙を見ると、本当にいろんなところを見ていてくれて、そういう方々がいてこその自分なんだなと感じます。特に、自分が誰かのために意図して動いたところに気付いてくれたりすると嬉しいですね。私目線で見てくれたんだなって。私よりも私らしさをわかってくれてると思いますし、そういう方をお渡し会なんかでお見かけすると安心したりします。イベントや円盤の購入に限らず、ずっとその作品のことを心のなかで好きでいてくれている方のことも、すごく好きです。もう感謝しかありません!

【声優図鑑】大坪由佳さんのコメント動画【ダ・ヴィンチニュース】

――ありがとうございました!

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

大坪由佳

大坪由佳(EARLY WING)

◆撮影協力
magic tone studio(マジックトーンスタジオ)

取材・文=麻布たぬ、撮影=山本哲也、制作・キャスティング=吉村尚紀「オブジェクト