マジメで処女でビッチって、いったいどんな女の子だ! 逆セクハララブコメディマンガが面白い

マンガ

公開日:2016/10/26

『僕の彼女がマジメ過ぎる処女ビッチな件』(松本ナミル/KADOKAWA)

 マンガのタイトルというものは、作品の世界観を一言で表す非常に重要なものだ。故に、練りに練られ、時には作者の想いがほとばしりすぎているようなものもある。10月26日(水)に第2巻が紙版電子版ともに発売された『僕の彼女がマジメ過ぎる処女ビッチな件』(松本ナミル/KADOKAWA)も、そんなマンガのひとつ。マジメ過ぎる処女ビッチ――。マジメで処女でビッチって、いったいどんな女の子だ! 思わずツッコまずにはいられないタイトルである。

 しかし、一度ページをめくれば、そのタイトルのサジ加減に唸らずにはいられない。本書に登場する僕の彼女――香坂秋穂は、紛れもなく、マジメ過ぎる処女ビッチなのだ。

 主人公・篠崎遙には、ずっと想いを寄せている憧れの存在がいた。それがクラス委員長の秋穂である。成績優秀でスポーツ万能、容姿端麗でとにかくマジメ。そんな秋穂を「憧れだけの存在」で終わらせたくないと、篠崎は玉砕覚悟で告白する。すると、その返事はまさかのOK。そして、秋穂はこう続ける。

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お付き合いは初めてなので… 良い彼女になれる様頑張らなくては… では手始めに四十八手を全て暗記しますね

 この発言に戸惑いを隠せない篠崎。これ以外にも、秋穂は“ビッチ発言”を頻繁に繰り出す。「どんな性癖をお持ちですか?」「今日のパンツの色はピンクです」「自分の右手だけではマンネリ化すると聞きます」などなど……。

 さらに、篠崎にちょっかいを出す幼馴染・雫が現れ、ビッチっぷりは大暴走。「ベッドの上であんなに激しく絡み合ったのに(幼い頃にお泊りしただけ)」「ハルのミルク… すっごく濃くて美味しいよ(ミルク味の飴をもらっただけ)など、卑猥発言を繰り返す雫にやきもきし、秋穂も負けじと体当たり的にビッチ行動に出るのである。

 けれど、それもこれも、篠崎のことが好きだから。恋愛経験がなかった秋穂は、少しでも篠崎に気に入られようと必死なのだ。その努力の方向は間違っているが、とても真っ直ぐに愛情を向けてくる秋穂は、見ているこちらも愛おしくなってしまう。

 続く第2巻では、さらに上を行くキャラクターが続出。親娘丼に過剰反応する秋穂の母親、兄を溺愛する篠崎の妹、男同士もアリ? な学園の王子様・聖夜……と、非常に濃い面々だ。

 もはや、逆セクハラの星の下に生まれてしまったといっても過言ではない篠崎。彼がこの先どんな目に遭うのか、遠くから楽しませてもらおう。

文=五十嵐 大