なんであの人はいつもイライラしているのか?【職場にいる不機嫌な人】のタイプ別攻略法

ビジネス

公開日:2016/11/9

『職場にいる不機嫌な人たち』(西多昌規/KADOKAWA)

 職場のあるスペースに足を踏み入れた途端、不穏な空気を感じたという経験はないだろうか。周りを見渡してもいつもと変わらぬ光景であるようなのに漂う空気がどこか違うと感じること。そんな独特の空気を感じて後からそっとその場にいた人に尋ねてみると“不機嫌な人”が荒れた後だったことが判明することがある。

 誰かが大声を出しているわけでも泣いているわけでもないのにわかる、あの独特の空気感とは一体何なのだろう。不機嫌な人が発するマイナスエネルギーというのは部屋中にその重い空気を蔓延させる恐ろしい感染力をもっているのではなかろうか。

 ある程度の規模の会社であれば必ずひとりはいるであろう“不機嫌な人”。「そんな人、適当にスルーしておけばいいんだよ」と気軽に言える人も中にはいるが、私のように不機嫌臭を敏感に察知して勝手に気疲れしてしまう自分にほとほと愛想を尽かせているという人に、ぜひご紹介したい1冊がある。『職場にいる不機嫌な人たち』(西多昌規/KADOKAWA)だ。一言で“不機嫌”と言っても、さまざまに存在するタイプに応じてどう接すればよいのかという対処法などを教えてくれる本である。

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 本書では不機嫌のタイプを下記の5つに分け、各グループをさらに性格別に細かく分けて対応を教示する。

(1)無神経グループ
(2)上から目線グループ
(3)独りじめグループ
(4)豹変グループ
(5)生理的グループ

 各グループに属する人は、たとえば、(1)無神経グループなら威嚇、だんまり、舌打ちをする人、ツンデレな人や自分は絶対に正しいと思いこんでいる人だ。(2)の上から目線グループは、陰口、嫌味、自慢話をいう人、ダメ出しから入る人、負けず嫌いな人である。(3)の独りじめグループには権威のある人との関係を自分の手柄のように語る虎の威を借るタイプ、自分よりできない相手と見ると「使えない」といって足を引っ張られることを恐れ敵視するタイプ、「あなたのためになる」と仕事を押し付けて自分だけいい子ぶるタイプ、自分の都合が一番で飲みの誘いを断るとむくれるさみしがり屋タイプ、「教えてもらっていないからできません」と言い切る居直りタイプなどが挙げられる。相手によって態度を変える(4)の豹変グループや心身にトラブルを抱えている(5)の生理的グループをあわせて考えてみると、「あっ、あの人のこと」と該当する人の顔が思わず頭に浮かんでしまう人もいるかもしれない。

 では本題だが本書で紹介されている一例として無神経グループに属する人への対処法についてご紹介しよう。「自分中心で周りが動いている」という思いが強い彼らに対して心すべきことは「この人も、ちょっとは周りのことを考えてくれているだろう」という甘い期待は捨てること、そして彼らの不機嫌の底には「こだわり」があることを知っておくことだという。たとえば、やたらとキレる威嚇さん。彼らの行動のもとには「どうして私のこだわりがわからないんだ」という葛藤があるようだ。このため、「そうじゃありません」「どうして話を聞いてくれないのですか」などとコチラの都合を訴える言葉を返してしまうと威嚇さんが「自分のこだわりを否定された」と感じ、さらにヒートアップしてしまうことになる。職場の雰囲気を委縮させて仕事への悪影響を与える威嚇さんへの対処は、おだてること。威嚇さんのこだわりポイントを見つけ、目の付け所が違うと褒めることだという。仕事の仕上げ方を見てみたいとか知りたいとかいいながら機嫌をなだめていくのが扱い上手となるポイントだ。被害に遭った時は頑固なこだわりの強さに負けたとでも思い直してやり過ごそう。

 不機嫌な人から受けるストレスを減らすためには、まずその原因を知ることが大切である。彼らがなぜ機嫌を損ねているのかを知り、そこから見える相手の行動を把握してしまえば、いい意味で上から目線で冷静に“不機嫌な人”を眺められるかもしれない。そうしているうちに、彼らに振り回されていることがバカバカしくなって余裕をもってスルーすることができるようになるかもしれないし、子供じみていて可愛いなんて大人目線で見ることができるようになるかもしれない。そしてもしあなた自身が“不機嫌な人”であることに気付いてしまったら今あなたは周囲に強く嫌悪感を抱かせていることを充分に認知し、ぜひ態度をあらためるよう本書で学び努力することを強くおすすめする。

文=Chika Samon