美味しさの秘訣は焦げ! 焦がすことで美味しくなる、“焦がし”を意識したレシピ本!

食・料理

公開日:2016/11/25

『ちょっと焦がすだけの絶品レシピ』(岩崎啓子/辰巳出版)

 焦げというと、失敗作、焼きすぎ、というマイナスのイメージがある反面、おこげやカラメルソースなど、美味しさに繋がる可能性も秘めている。焦がすことで香ばしくなり、味に奥行きが出ることが今再注目されており、先日『ちょっと焦がすだけの絶品レシピ』(岩崎啓子/辰巳出版)という焦がし料理専門のレシピ本まで発売された。

 本書によると、焦がして美味しくなるものにはパターンがあり、その美味しさに繋がる材料や手間を加えることで、焦げがより奥深い味を作り出すのだという。筆者も美味しい焦げは大好きなので、本書の焦がし料理にチャレンジしてみた。

1、「あぶり焼き豚」(P.14~P.15)


 1つめは、蜂蜜の照りが美味しそうな「あぶり焼き豚」。ビニール袋に、塩コショウをした豚肉、玉ねぎのみじん切り、砂糖、醤油、酒、甜麺醤、ごま油、生姜、にんにく、八角を入れて混ぜ合わせ、室温に3時間置く。グリルの受け皿に水を入れ、網にぶつ切りにした長ねぎ、豚肉の順にのせて、中火で8分、15分放置、中火で8分の順に加熱する。あとは蜂蜜を塗って追加で2分ほど焼けば完成。

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 砂糖やみりんを加えたタレにしっかり漬け込み、表面をこんがりさせたことで、香ばしくなって味に深みが出ている。下に敷いていたネギの風味もしっかりと肉に移っていて、食べるとふわっとネギが香るのも嬉しい。

2、「大根ステーキ」(P.59)


 2つめは、出汁と焦げの組み合わせがたまらない「大根ステーキ」。耐熱皿に切った大根と出汁を入れ、レンジで加熱したものを、フライパンで焦げ目がつくまで焼く。あとは、バター、出汁、味噌、みりん、すりごまを煮立たせて大根にかけるだけ。

 あっさりとした味付けの大根、焦げ、バターと味噌、すりごまの香ばしさが合わさって、シンプルながら贅沢な味。食べると溢れてくる出汁で、味噌の濃さが程よく中和され、ちょうどいい塩梅になる。うま味が逃げずにぎゅっと詰まっているのは、焦げのおかげ。

3、「焼きビビンバ」(P.65)


 最後は、おこげと言えば、な「焼きビビンバ」。長ねぎのみじん切り、醤油、砂糖、すりごま、ごま油、にんにく、粉唐辛子と牛肉を混ぜ合わせて炒める。別で、薄切りにしたきゅうりとしいたけ、千切りにしたにんじん、もやしをごま油で炒め、塩コショウで味を調える。一旦フライパンを綺麗に洗い、ごま油、ご飯、炒めた野菜、牛肉、卵の順にのせ、中火にかけ、ごまをふり、酒、醤油、コチュジャン、砂糖を混ぜて加え、ご飯が焦げるまで加熱すれば出来上がり。

 味噌の絡んだ甘辛いご飯のおこげは、言うまでもなく絶品。これなら、底のカリッとした部分を剥がして食べる幸せを、お手軽に味わうことができる。石鍋がなくてもフライパンで十分美味しく作れたので、ぜひとも晩ご飯の定番メニューに加えてほしい。

 どのメニューも、いつもより少し“焦げ”を意識するだけでぐんと美味しくなった。こんがりと焼けた料理は、見た目も豪華になる。ちなみに、焦げには発がん性物質が含まれていると聞いたことがあったが、本書によると、それはたんぱく質が炭化したものを多量摂取した場合で、炭水化物や野菜の焦げには含まれていないとのこと。

『ちょっと焦がすだけの絶品レシピ』には、他にも「バーベキュースペアリブ」や「ぱりぱり鶏肉のアンチョビバター」「肉みそ焼きおにぎり」など作ってみたいレシピばかり。本書で焦げのコツを学ぶことで、一段階踏み込んだ料理の知識が身に付きそう。料理の味がイマイチ決まらない、という人は、ぜひこの本でワンランク上の味を目指してみては?

文=月乃雫