センスええこにそだつ本やで~! 子どもの心のツボをくすぐり、自然と目がキラキラしてくる絵本とは?

出産・子育て

公開日:2016/11/27

 ベルギーの人気絵本を日本版に独自アレンジして完成させた、子どもの心のツボをくすぐる絵本『センスええこにそだつ本やで~! ニャゴまるの ゆき!ゆき~!! スキーランド』が2016年11月11日(金)に発売された。

子どもの心のツボ1:細か~いところまで超丁寧で凝っている絵!

幼い子どもにとっては、ストーリーよりもまず絵が大事。色が綺麗で、ページの隅々まで細かく丁寧に描かれた絵には、本能的に反応する。澄んだ目でじいっと観察を始める子ども…… 絵の中の道を、嬉しそうに指で辿ってみるその心には、もしかしたら、主人公になった気分で、大好きなパパと、うきうきドライブしている情景が浮かんでいるのかもしれない。「ママぁ、ここみて~!」と教えてくれたら、「ほんとだ! よくみつけたね~!!」と、ノリよくほめてあげよう。ページをめくるたびに、子どもの注意力、観察力、発見力が、どんどん引き出されていく。

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一般にTV番組やDVDアニメは、流れていく画面に合わせ「受け身」で眺めていくことが多いもの。それに対し、絵本は「自発的」「能動的」に「自分のペース」でページをめくり、自分の「目」と「指」と「想像力」を駆使して、内容の面白さを自分で感じとっていく。すぐれた絵なら、子どもの「興味」や「やる気」を刺激して自然に引きだしてくれる。

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一見、ヨーロッパの原書らしい、アートで高尚なムードな絵。第一印象で「ウチの子に合うかしら??」と感じても、繊細な描きこみに子どもは吸いよせられる。

子どもの心のツボ2:ありえないほど夢や理想を自由にくりひろげる世界

行ったことのない、不思議な雪の国、スキーランド。そこで目にする、思わず「こんなの、ありえないっ!」とつっこみたくなるような、ユニークで非現実的な乗り物やキャラたち……。けれど、子どもたちの「頭のやわらかさ」にかかればすべて「ありっ!」。

たとえば、あるページで「リフトとゴンドラがかわりばんこにぶらさがっている乗り物」「スキー場だというのに、町へお買い物に行く程度の軽装で、下りのリフトに乗ってるふたり」、別のページで「寝ているベッドがむきだしのまま走っている寝台車」など、常識では考えられない奇想天外な発想があったとしても、絵本の中では全て肯定される。

たとえば、別のページで「おならのガスで進んでいこうとしてるペンギン」「雪山の頂上で、雲から顔を出してみせてるキリン」を子どもが発見して「なんで~!?」と大笑いしていたら、「ペンギンさん、おもしろいこと、おもいついたね~。たのしそう~」「キリンさん、なが~いくびを、じょうずにつかってるね~。いいな~」と、絵の遊び心を肯定し、キャラたちを羨ましがってみよう。大人も羨ましがる夢の世界に、子どもの目はキラキラ輝くだろう。

心に思いうかべる「そうだったらおもしろいな」の望みや理想が、現実にかなっている情景がページに広がっていて、どんな発想も「おかしい」と否定されないのが、絵本の魅力。頭のやわらか~い子どもたちが、のびのびと自由に想像を広げていく、すてきなきっかけとなる。

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ゴンドラとリフトがかわりばんこにぶらさがっている不思議な乗り物に乗って、スキーランドのてっぺんを目指す。現実にはあまり見かけない「ファンタジー」が広がる世界。

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なぜか犬顔の機関車や、COAL(石炭)じゃなくてCOOL(クール)と描かれたギャグな貨物車(大人ウケ!)、その後ろは寝ている二段ベッドがむきだしで走っている寝台車。

子どもの心のツボ3:耳に残り、頭に入りやすいリズミカルな言葉や文!

おさない子どもは、絵本の中で起こっているストーリーを、文から読みとるのではなく、大人の読み聞かせる声をたよりに知っていく。

たとえば、煙突から出る煙を見たら、「しゅ~しゅ~」「ぼ~」とノリよく声を出して、音のイメージを伝えてあげよう。擬音語、擬態語は、子どもが大好きな魔法の言葉。もしも、子どもが同じように声を出して繰り返したらノッている証拠。煙の出ている情景がより具体的に興味深く、頭にイメージできていることだろう。

また、絵本の文は、1文にたくさんの文節があって、文の構造をいちいち考えなくてはならないようではNG。ふだん、子どもとかわす会話くらいの言葉数や言葉の優しさだったり、頭に入りやすい言葉の順序やリズム感になっていることが大事だ。

たとえば、「トンネルへはいるで~」「スキーランド、まだやろか~」と声に出して読んでみよう。1文2~3文節を中心とした、短い文。大人にとっても読み間違えにくく、1回めの読み聞かせから成功しやすい文字量。さらに、ノリがよくてやわらか~い関西弁が、耳に心地よくて、言葉の持つ意味やニュアンスも、すとんと頭に入ってくるだろう。絵本の文で大事なのは、耳に残り、頭に入りやすいリズム。関西弁は、「さむなってきたで~」「えらいこっちゃ」「どんだけとおいん?」……と、「関西弁ネイティブ」の大人でなくても、ゆかいなノリを伝えられるステキな言葉。イントネーションがよくわからなかったら、この際、自己流でかまわない。おもしろい! ワクワク! 盛りあがる! に結びつけば、絵本の読み聞かせは、ひとまず成功だ。

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「ぼ~」「ぼ~ぼ~」「しゅ~しゅ~」。ただ、煙突から煙が出ているだけなのに、しばらく楽しめてしまう。絵に音を加えられそうなところでは、ぜひ遊んでみよう。

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スキーランドへ行く途中のドライブも、子どもにとっては、いろんな乗り物を見たり、町の建物や人々を見たり、興味の宝庫。トンネルをくぐるシーンは見どころだ。

子どもの心のツボ4:じょうぶでめくりやすい! 開きやすい!

最後に注目したいのは、本の作りについて。大人なら、意識しなくてもあたりまえのようにこなしている本のあつかい。でも……手指が発達途中の子どもにとっては、ページをめくる力加減でさえ器用にできるとはかぎらず、1枚ずつをじょうずにめくれなかったり、うっかり破いてしまったり、ページを片手でおさえて開いておけないことも、しばしば。

悔しいストレスを減らしてくれるのが、ページを厚紙にしてあって、紙にツルツルのフィルムがはられている「合紙グロスPP加工」の絵本。絵本選びの際にはあまり注目されないところだが、じょうぶなうえに、1ページ1ページを子どもがめくりやすく、ページがぴたっと水平に開きやすい。さらに絵の色もくっきりあざやかに見える効果がある、子どものテンションを上げる大事な心くばりだ。

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中ページに厚い紙をつかった「合紙」表面にツルツルのフィルムをはった「グロスPP加工」で、開きやすく、色もあざやか!

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カバーをめくったところについている、切りとって折るだけの素朴な紙工作。これにもツルツルのフィルム加工がしてあって、じょうぶで色もきれい。ぴたっと水平に開くページの上で動かして遊べる。

 「子どもの心のツボ」をくすぐる条件を満たした絵本は、おうちに何冊あるだろう。この絵本を本棚においておけば、「ママぁ、これよんで~!」「きょうはこのほん、よむ~!」と子どもがウキウキした顔で自分から持ってくるだろう。

※掲載内容は変更になる場合があります。